一味

ノマドランドの一味のネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ノマドという題材で一人の主人公を描くハートフルヒューマンドラマかと思って見始めたから想定外のダメージを受けた。
原作タイトルは「ノマド:漂流する高齢労働者たち」だし、アメリカの貧困層をマイルドに描いたドキュメンタリーの面もあったのかもしれない。
心が落ち着ける帰る家があるのってありがたいなと感じたし、自分の老後も少し不安になる映画だった。

主人公ファーンが途中で出会う仲間達は皆ノマド暮らしを謳歌しているようにも見えたけど、ファーンだけは最後までそうは見えなかった。
社交的だし親切で周りに好かれているし、皆と楽しそうにしているシーンも沢山あったけど、いつもどこか悲しそうな顔をしている。
夫が亡くなり、思い出の町も無くなり、喪失感をずっと抱えている様子が見ていて辛かった。
わざと辛い生き方を選択しているようにも見えるし、本当にこの生活を抜け出すことが出来ない貧困層にいるようにも見える。
どちらにせよ、心から望んで楽しんでこの生活をしているようには見えない。
姉や知り合った男性から一緒に住もうと誘われ、何度もきっかけはあったのに断ってわざわざノマド生活を続ける様子、もったいない…と思いつつ、そうするしかない彼女の心情も少し分かる気がしてやるせない気持ちになった。
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