バタコ

ミス・マルクスのバタコのレビュー・感想・評価

ミス・マルクス(2020年製作の映画)
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エリノアの人生は、すばらしくクレバーな人の面と、ダメンズにハマる面と、どちらも人には共存するという証明のような人生。実体験がないから、よくわからなかったけど、ありうることなんだろうとは思う。
カールマルクス=毒親というカテゴリーも意外だったが、当時の労働者の姿を短い時間だったがここまで映画いているところも意外だった。動労者の生活とクズな夫との生活と対比させ、その矛盾を描くことが監督の目的なのか。
エンゲルスの晩年の告白。カールマルクスはどんな人だったんだろう。

他のユーザーの感想・評価

RIO

RIOの感想・評価

3.6
19世紀のロンドン
社会主義とフェニミズム

フェミニストの先駆けともいえるエリノアの目は苦しんでる人にまっすぐに向けられている
長きに渡る圧力からマルクスの流れに逆らっているようだけれど
フェミニストの立場からいえばたとえ未完であったとしても大きな1歩を進めてる

マルクスの天才的な能力を著作へ向けたイェニーに宛てた手紙が良かった
この2人の同志にも似た強い絆をよく知っていたエリノア
父親と生き方と同じく妥協したくないから
あのような決断をしたのかなと考えてます


カール・マルクスの6人の子
マルクスを後世に伝えるために尽力した三姉妹
ジェニー・ラウラ・末娘エリノア
特に才能のあったエリノア
「資本論」の英語版の刊行も手掛け
作品中では「人形の家」戯曲のノラを演じていた
フローベールの「ボヴァリー夫人」やイプセンの戯曲「海の夫人」や「民衆の敵」などを最初に英訳してる

ペイズリーとパンクロックが良かった
イタリア・ベルギー合作の伝記物。

哲学、経済、思想、革命家として有名なカール・マルクスの末娘エリノア・マルクス。

女性、労働者、子供たちなど、弱者のために闘い続けた彼女もまた、一人の弱い女性だった。

パンクロックのように激しく、そして切ない彼女の生きざまとは?

英雄の表と裏。

女性の自立を説く一方で、プライベートでは同じ社会主義者のエドワード・エイヴリング(かなりの駄目男)に依存していく。

父親と良く似た男への囚われ…彼女は父親の呪縛から逃れられなかったのだろうか?

物語後半の少女エリノアと父や姉たちとの回想が胸に刺さる。

もし、彼女やカールが今の世界を見たら、何を思うのだろう?

そんな愚問が頭をよぎりました。

※Twitterもよろしくお願いします!→@Blueeternal2022
mh

mhの感想・評価

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マルクスの末娘の半生をパンクロックに乗せて映画化。
著作のひとくさりをこっち(カメラ)に向かって話したり、パンクロックに合わせて踊ったりと、まあまあ冒険して、それがまあまあ成功してる。
浪費癖があってみんなから嫌われてる亭主やら、女性であることで社会から不利益を受けてたりの細部の印象が強くって、とっちらかってるようにも見えるけど、波瀾万丈だった人生を俯瞰で楽しむのが正解なんだろうね。
急に変なことをしなくなるラストシークエンスはずるいと思った。
希死念慮を抱えてすごしていた若い頃見たら危なかった。
「マルクスエンゲルス(2018)」の続きみたいなもんだろうと予測してたらぜんぜん違った。
面白かった。
今年初め頃に見て、長いレビューを書いたが、消してしまったらしい。時間が経っているので、視聴後どんな風に感じたか忘れてしまったが、あのマルクスの娘の人生を描いた良作。いわゆる毒親育ちの女性の一生だ(パパは地獄へ堕ちるべきと言ってたし…)芸能人、著名人家庭の子供は、ただ親の世間体を守る、親の代弁者の様な任務しか与えられず、若い頃からずっと偉大なる父のご機嫌をうかがう、家族に奉仕するだけで自分の人生はほぼない。しかし、お金持ちだし有名人の親とかいいね〜など周りからあまり理解されない。It’s my turn to liveやっと私の番よ、これから自分の人生を生きるのよ、という言葉印象に残っている。彼女にも勿論才能があるのだが、あの天才マルクスの陰に隠れ自分らしさを出す自由はない。確か、マルクスの『資本論』を執筆していた場面があったと思う。マルクスは未完成のまま亡くなったので、残った資料からエンゲルスが書き上げたが、彼女も共同執筆したのかもしれないな。19世紀、女性が本を書くなんて認めてもらえなかったので、エンゲルスの名前だけで出版されたのだろう(ここ曖昧に描いてた気がするので、間違っていたらごめんなさい。)残りの人生を差別と闘う活動家として生きた。音楽がハードロックで、彼女の心の中を荒れ狂う嵐みたいな表現が良かった。
nekoneko

nekonekoの感想・評価

3.6
カール・マルクスの末娘エリノアの激動の人生を描いた作品

マルクスはもちろん彼の家族の事も何も知らずに見始めたけれど…

労働者の搾取を否定する立場だった父マルクスに「搾取」されていたのは子供達だったのですね

父親を父親の愛人と看取って自由になったエリノアでしたが…彼女は「依存」される立場に追い込まれてしまう

人にはない強さと弱さを持ち合わせた彼女はずっと政治活動家として女として闘い続けたんだと思う

そんなエリノアを演じたロモーラ・ガライに加点…


彼女の胸の内がバンクロックで表現されているシーンにギュッと持っていかれる
ラ・カンパネラも沁みました
Natsuho

Natsuhoの感想・評価

3.0
「未来はあなたの味方」

とても勇気ある強い女性。
最後はいろんなものに負けてしまったのかな…

思ってたものと全然違ってたかも。
内容は他のレビュー通りで,マルクスの末娘エリノアに,社会主義者の理解者・後継者の面と,フェミニズムの活動家の両面があったことを伝えるもので,またより個人的な面を描いている。

タイトル写真は,このサイトで掲げられているポスターの画より,WOWOWオンデマンドのスチールタイトルの方が雰囲気が出ていると思いました。

劇中の言葉の面を書いておきます。
登場人物がイギリス在住2世・3世のマルクス家の人々と,教養豊かな労働運動指導者ということで,じかの労働者が台詞をしゃべることはなく,俳優さんたちの台詞は美しいイギリス英語で語られます。

劇中ナレーションで,エリノア・マルクスの原稿がエリノア役のロモーラ・ガライによって朗読される。字幕で漢字だらけの日本語にするとそうでもないのだが,イギリス英語だとわかりやすく,なんと美しく,雄々しく語るのだろうかと思った。

この辺は日本で二十世紀前半に翻訳されたリ,執筆されたりした社会主義文献が,検閲逃れにわざとわかりにくく書かれているのを,戦後の人たちが,聞いてわかる日本語に直さなかったせいだと思われます。
そこには,戦前,戦中を通じて非マルクス的潮流は翼賛皇道経済学になって,戦後追放され,一方では戦前息を潜めて細々と知識人の中だけで理解されたマルクス経済学が盛んになり,他方はアメリカ渡りの近代学派が並立することにななったという事情があります。マルクス研究では偉大な先人の訳を変えるのに抵抗があって,もとのドイツ語ではそうでもない用語(オランダ語やドイツ語はむしろ普通に科学用語も日常語で作るので,英語やフランス語渡りの語源の多い経済用語はもちろん庶民がわかるほど簡単ではない)から難解な漢語への外来語置き換えをしただけのような言い回しが定着します。

戦後は一方ではかなやローマ字で書いてわかる日本語を目指す運動もあったのに,統一できていなかったのは残念です。

この辺は,エンドタイトルの,エリノア・マルクスの紹介の中で併記される,労働権,児童保護,女性の権利,普通選挙,等の諸権利を求める運動が長く統一できていないのに通じるものを思います。
テツ

テツの感想・評価

2.5
恋人と意見の相違があったシーンは、まさかの戯曲の中での事でした。

そしてその恋人が異母兄弟だったとは。。。でもそんな事信じない。

劣悪な労働者の待遇と女性の立場を同等に問題視し、権利の向上を訴えた。

社会主義のもとに学業、労働の機会平等を訴え、前へ進もうとする。

ロックで踊るラスト映像が衝撃的でした。
にしの

にしのの感想・評価

3.0
人民を踏みつけている社会との戦いをやる男たちも女を踏みつけている。フェミニズムは闘いの歴史なんだな。
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