よしゅあ

ニューオーダーのよしゅあのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
3.5
○今作では様々な立場の人たちがでてくる。格差を改善するようにデモを行ってた人たち、その活動から過激な行動にでた人たち(屋敷内に押し入った集団)、襲われる富裕層、その中でも善であろうとする人たち、軍隊内部のテロリスト集団と隠蔽する上層部。そこから分かるのは、経済格差の大きな都市で富裕層がおり、近い距離で生活の苦しい平均の人々が暮らしている事。金の略奪をしている軍隊内部の人がおり、国の仕事をしていても経済的に安定は手にできていないと云う事。一部以外は苦しい経済状況だ。

○現在、世界では同じ国内で経済的な格差が大きくなっている。確かに高収入に行き過ぎた課税はGAFAのようなイノベーションを産み出す大企業の誕生を制限してしまう効果があるだろう。しかし、そこで稼ぎ出された高収入を手にしても安心して生活できる日常が維持されていなければ幸福は訪れない。今作でも使用人、特にセキュリティが略奪側に寝返ったのをみれば警備をつけても格差が大きければ安心は手に入らない。

○物語の舞台はメキシコであるが、日本も例外ではない。だんだんと中間層が消え、二分化され行く社会は本当に良い社会と言えるのだろうか?。経済的な国内全体の格差、都市と地方の格差、経済階層による分断を容認してきた事の反省をしなければならない時期に来てるのだろう。社会に生きる全ての人が自由で安心で平穏な日常を過ごせる「価値」を、どの経済的な状況とも共有して活動する必要があるね。この映画を見た後で「映画の世界の話だよね、遠い国の話だよね」と終わらせるのではなくて、なにか小さな事からでも始めたい。ディストピアが行く末なのであれば尚更である。

2023/1月
よしゅあ

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