金宮さん

スピードキューバーズ: 世界を見据えての金宮さんのレビュー・感想・評価

4.5
競技としてのルービックキューブに青春をかける2大選手を追ったドキュメンタリー。これは思わぬ拾い物。なんとなく『聖の青春』を思い出しましたが、正直あらゆるフィクションより熱い物語です。

最初に紹介されるのはフェリックス。どれだけ彼が偉大で各世界記録を樹立していったかが足早に語られます。どうやら全種目で世界記録を樹立していた模様。ちなみに競技としては面数(3×3とか7×7みたいな感じ)で種目がわかれ、競うのは完成までの秒数です。

そのフェリックスを脅かす存在としてマックスが登場します。マックスは花形とされる3×3種目以外はすべてフェリックスの世界記録を破る偉業を果たしている。

ここでマックスを深掘りしていくのですが、実は彼には自閉症というバックボーンがありました。ダメ元ではありましたが、教材や親子の絆のきっかけになればと両親が渡したルービックキューブで才能を発揮する。その後、大会では無双するのですが、表彰台で敗者を気づかえるようになった姿に感動する両親にはもらい泣きさせられます。

フェリックスの立場的に彼は脅威の存在なはず、でも彼は自分の記録が破られるたびに心からの祝福メールをマックスに送ります。フェリックスはマックスにとって憧れの存在。リアルでも交流を持つようになるのですが、「僕(フェリックス)も歯磨きするから、君(マックス)もね」なんて言ったりする。聖人すぎる。。このあたりで私の涙腺はぶっ壊されました。

そんなドラマチックな過去を背景に、今作はフェリックスが唯一記録保持している3×3種目での対決シーンをピークに持っていきます。いや、熱すぎるでしょ!結末は少しビターなものかもしれませんが、それはそれで白々しくないリアルな質感でよかったです。

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子育て真っ最中なので、やはり才能を自分の了見範囲内で決めつけてはいけないなあと思いました。月並みですが、やはり色々な可能性を与えてあげないと。
金宮さん

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