Yoshishun

ファイナル・プランのYoshishunのレビュー・感想・評価

ファイナル・プラン(2020年製作の映画)
1.5
"ベテランの無駄遣い"

今度のリーアム・ニーソンは、元爆発物処理班だ!
「最後の愛・最後の爆発」という宣伝文句が気になりすぎた作品だが、これがリーアム・ニーソンをはじめとしたベテラン俳優の無駄遣い映画だった。

脚本未完のまま製作に漕ぎ着けたと揶揄された程に、ストーリーやキャラクター設定に突っ込み処満載。
まず、ストーリーだが、元海兵隊員の銀行強盗が、愛する者と出会ったことで過去の罪を清算しようとする。そこまではいい。ところが盗んだ900万ドルを返す代わりに、収監所の場所や刑期を要求してくるのだ。この主人公はこんなに図太い性格だったのかと驚くのも束の間、もっとヤバい展開が待ち受ける。何と彼の盗んだ金を受け取りに来たFBI二人が、そのまま強奪しようとするのだ。成る程彼等にも彼等なりの事情があるのかと思えば、「金が欲しい」以外何も言及されない。更にいえば、偽のFBIで本当はリーアム・ニーソンと同じ泥棒?と思いきやちゃんと本人。え、何でこいつら強盗した金を更に強奪しようとしてんの?と訳の分からぬままストーリーは進んでいく。

おまけにキャラクター達のセキュリティ意識が低すぎるのも問題だ。主人公の恋人の経営する貸倉庫屋に、さっきのFBIが乗り込んでくる。証拠隠滅のために彼女を脅迫しようとするのだが、倉庫の防犯カメラはあるのに店内に防犯カメラがない不思議。あれ警察に送れば1発アウトだろうに。また、冒頭の銀行強盗も念入りに計画されているように見えるものの、結局は主人公がセキュリティの甘い銀行を狙ってるにすぎず、銀行側のセキュリティが終わってるのはどうかと思う。映画内で銀行は襲撃対象になりがちだが、どの強盗がみても本作の銀行は獲物として見なされないレベルの酷さである。

また、主人公が何故銀行強盗をし始めたのかの動機が中盤で語られるが、これがかなり酷い。恋人はこんなやつの言うこと聞いたらダメだよ。

そして、最大の失敗は、出てくるベテラン俳優が揃って無駄遣いされている点だろう。

まずリーアム・ニーソンは、歳のせいもあってか、今回は比較的アクションの少ない役柄である。『96時間』のようなキレッキレなアクションが見れないのは寂しいところだが、ではわざわざリーアム・ニーソンに演じさせるメリットがあったかというと無いに等しい。最強のアクション俳優が、その得意とするアクションを封印され、代わりにCGで出来た爆発物を製造できるというハイスペックな男を、彼で観たいかというと否。
また、ロバート・パトリックが最大の被害者だろう。『パラサイト』や『ターミネーター2』の悪役で有名な俳優だが、開始30分足らずで即退場。それも主人公の部屋を訪れた直後に部下に殺害されてしまう。ノコノコ無防備で部屋に上がり込んであっさり殺されるし、彼直属の相棒から「彼の妻に何と言うべきか」と言われる始末。またこの時、FBIの若造も若造で明らかに指紋べったり付いてる拳銃で銃殺しておきながら、どのように主人公を犯人に仕立てあげるかがさっぱりわからない。

ここまで酷い以外の感想が出てこないのだが、勿論オチは拍車をかけて酷い。とうとう投げやりになったのが誰にでもわかる。

リーアム・ニーソン主演作でここまでの作品が観れるとは思わなかった。現時点で主演作では断トツでワースト級だと思う。
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