どらどら

いとみちのどらどらのレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
4.6
- なーんで人生って簡単じゃないんばね

世界との距離に悩んでいた少女が
自分自身を受け入れたとき
自分自身を解放したとき
やっと気づくことができた

世界は残酷で不条理で
人間はどこまでも多面的でわからないことだらけで
それでも
世界はずっと、こちらに笑顔で手を振っていたのだ
___________________________________
めちゃくちゃロックな映画だと思った
主役のセリフの半分くらいまじで何言ってるかわかんなくて雰囲気で読み取るしかないのに説明も字幕も一切無し
ひたすらに津軽弁全開で突き進み続ける
「東京」はあくまで観念でしかなくて、少女たちの世界はとても狭い
それなのにこの映画は、どんな大規模な映画よりも、世界と1人の少女の人生の距離を、的確に表現していたと思う

駒井蓮、この映画を見てファンにならない人はいない
横田真悠、イッテQでしか見たことなかったけどとてもいい。世界と自分の才能との葛藤。そこはかとない焦りとぬるま湯にいる安心感。彼女の涙の意味こそ、この映画の救済だ

黒川芽依、豊川悦司が若いキャスト中心の映画を落ち着かせる、的確なキャスティング

この映画の素晴らしいところは、決してあらゆる登場人物をキャラクター化しなかったこと。全ての人間は多面的で、得意なこともあれば苦手なこともあるし、明るいときもあれば暗い時もあるし、いい人と悪い人は同居しうる。
この人間の多面性から逃げずに、少女と世界の距離を映画は刻印した。
なんて素晴らしい映画なんだろう。
どらどら

どらどら