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ベクシル 2077 日本鎖国のmitakosamaのレビュー・感想・評価

ベクシル 2077 日本鎖国(2007年製作の映画)
2.4
劇場公開時に見に行った感想は「曽利文彦、図に乗っていやがるな」だった。ピンポンを監督した後、アップルシードをプロデュースしてデジタルアニメーションに置いて時代の寵児に躍り出たと自負してたのでしょうな。
完全に調子に乗ってたと思う。

それを踏まえての、氏による劇場用オリジナル作品。原作を他に持たない、監督による物語の作り起こしが今作だった訳だ。

で、やはり「曽利は優秀なデジタル技術屋ではあるが、物語を作れる“作家”ではないな」という結論を出したな。

日本が技術大国になり鎖国状態になっている近未来。アメリカの特殊部隊の潜入により、大和重鋼なる企業の人体実験により日本人は全員生体アンドロイドに改造されていた事実が発覚。
荒廃した日本を舞台に、特殊部隊隊員ベクシルは、レジスタンスとともに大和重工を倒す。という話。

技術大国が進み鎖国って発想がバブルっぽいし、実は貧困に仰いでいたという北朝鮮を想起させる悲壮さも設定としては、まあつまんなくは無い。

主人公のヒロイン・ベクシルが日本に侵入し、戦後のドヤ街みたいな荒廃した日本に生きている人間を見て「なんか活き活きしている」と呟くんだな。
ええええええ?このブラスチックみたいなCG人形のお芝居の、どこが活き活きしてるんだよ?!!!!!

この“貧しくても生命感溢れるように働いている町の住人”をさ、
もし仮に宮崎駿が演出したら、本当に活き活きした人間を描くだろうよ。でも曽利の描く“活き活きとした人間”に生命感は感じられないんだよね。

ここだよ!圧倒的な“作家性”の実力の差は!!!!!

考えたら実写版あしたのジョーでも、ただ刺々しいだけの主人公を「どこか憎めない奴」と評していたんだよな。

人間がちゃんと描けないのは作家としては致命的。それが今作でハッキリ明確化したと思う。
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