垂直落下式サミング

デス・オブ・ミーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

デス・オブ・ミー(2020年製作の映画)
3.0
タイの離島を舞台にしたやばい村映画inアジア。徐々に世に恐ろしい住民たちの秘密が明るみに出てきて、最終的に手前勝手な共同体思想を強く押しつけてくるタイプの作品。
アリ・アスターの『ミッドサマー』が世界的に話題になってから、土着信仰のやばさを深掘りしていくホラーが増えた。その一本。日本でも、そのものズバリのタイトルで清水崇の「恐怖の村シリーズ」なんてのができたりしている。
『キューブ』のヒット以降はソリッドシチュエーションが、『パラノーマルアクティビティ』以降はファウンドフッテージが、長らくジャンルの支配的なトレンドとなっていったのと同じように、アリ・アスターは信心サイコロジカルスリラーという新しいトレンドを打ち立てつつある。
儀式や生贄といったものを取り扱うオカルト全力肯定系。朝までの記憶をなくしたカップルが、ビデオ録画した映像をたよりに状況を遡っていくが、何がなんだかわからない序盤は中々面白い。
だが、前半にくらべて、後半しりすぼみ。夫が目を離すと奥さんがゲロ吐いて倒れる芸のないテンドンが二回も繰り返されるし、そのあとも旦那がいなくなって取り乱すのがずっと続いて不安をあおるけど、その間はミステリーがずっと停滞するから、かったるい。
ぶっちゃけ、ビデオ確認の胸騒ぎのするような期待値に比べれば、ふたりの身にふりかかった不思議な現象の目的が明らかになるオチも、現地民の奇異な習慣の描写も、両方が予想の範囲内。本家ミッドサマーのように、予想を越えた何かがないと、このテの映画はキツいものがある。
入れ墨の女がぜんぶ喋って奴らの目的をタネ明かしなのもツマンナイし、押し付けられる価値観がまったくもってほんの少しも理解できないほど異質なモノってわけでもないのもツマンナイ。
タイは国民のほとんどが仏教徒らしいけれど、こんな変カルトな地域あるんだろうか。映画を信じすぎるのが悪い癖。失礼だよ。アメリカの大統領って、宇宙人が攻めてきたら自分も戦闘機に乗って戦うんすか?って、そんなわけないじゃんね。