名作。。これはスクリーンで見てよかった〜!
圧倒的な音楽の魅力ももちろんあるけれど、映像の巧みも見所。
登場人物の細やかな演技も絶品でした。。
現実の話のようで、お伽話のよう。
本当に実在したのか?
と、コーン吹きに、周りの登場人物たちが何度も問いかけるシーンがありますが、
1900が存在したかを証明できるのは、彼を知る人の記憶と、一枚のレコードだけ。
思い出話の美しさと、奇妙さが引き立つ脚本ですね。
陸の人はいつも皆、どこか虚栄的。
素晴らしい景色も、富も、優雅な生活も、
88の鍵盤があれば、いつでも味わうことができる彼にとって、
外の世界はさほど魅力的ではなかった。
"限りがあるから、美しい"
という感覚ってありますよね。
例えば、不老不死が当たり前になった世界が実現したとして、
それが普通のことで、どんなに素晴らしいと謳われても、私は寿命がある人生を選ぶ気がします。
いつか死ぬと分かっているから、幸せを噛みしめられる。
刹那だからこその幸せって、ありますよね。
彼が船を降りなかったのは、そんな感覚なのかなぁとも思います。
きっと、あのタラップで、彼は海の声を聞いてしまったんでしょうね。
無限は、既に彼の手の中にあり、
88つの限りある鍵盤の外に出ると、
たちまち失われてしまう。
彼の望むものは陸にはないと悟ってしまったのかなと思います。
天才の悲しき性なのかなぁ。
修復版は45分ほど、カットされている作品だそうで、
シーンをごっそり抜いたのではなく、全編に置いて少しずつ描写を切っていたそう。
細かな描写まで追いかけて、目線や心情や含みを表現していたのがこの映画の最も美しい所だと感じたので、
これは完全版も、是非見たいと思いました!