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水俣曼荼羅のneroliのレビュー・感想・評価

水俣曼荼羅(2020年製作の映画)
4.5
■水俣病とは脳の中枢神経のある一部が侵される病気■
 
 
6時間12分に耐えられるか?と思い見ましたが、興味深く、面白い部分も多い作品でした〜
 
最後に原監督のトークショーもあり、裏話も聞けてよかったです〜♪
 
 
水俣・天草について少し関連がある私ですが、その後20年の経過について全く知りませんでした。
 
昔は、末梢神経が侵される病気と思われていましたが、現在は、脳の中枢神経のある一部が侵される病気であるということも初めて知りました。
 
糖尿病の3大症状の一つ、末梢神経障害(手袋、靴下型)のように、手袋をはめる位置と靴下を履く部分の神経障害ではなく、手先足先はもちろん、唇、体全体の感覚が分からないという症状があることも初めて知りました。
 
その為、味覚が分からず、味付けが濃くなり、高血圧症を発症していらっしゃる方もいらっしゃいました。
 
その他の症状として、脳の中枢神経の欠損なので、運動失調、平衡機能障害、両側性の求心性視野狭窄などの症状も伴います。
 
 
診断が難しく、その為、水俣病認定がなかなかできなかったことも分かりました。

熊大医学部・浴野教授ともう一人の医師が脳の中枢神経説を訴え、論文にしたとのことですが、医学部でもうちょっと早期に研究班を作るなどできなかったのかな〜
 
研究する場合、患者さんの同意、亡くなった方は家族の同意が必要であるが、なかなか協力が得れない場面も見受けられ、研究が進まなかった様子。
 
医学的に証明されないと行政も動かない部分もありますよね〜
 
 
 

■最近、発達障害の方が多い■

 
水俣病患者の精神状態について、精神科医の意見も出てきた。
感情のコントロールができなかったり、人格が変わったり、または引きこもりの方も多かったり。
発達障害の方の症状に似ている方もいる。
 
 
私事ではあるが、ここ数ヶ月、自分の診察スタイルが急激に変化している。
 
外来受診する方の話をよくよく聞くと、発達障害の方がかなり多い。
その二次的な不安、抑うつで受診されている。
 
最近、発達障害の原因の一つとして、環境汚染物質もあげられることがあるが、それもあるかもしれないと思いながら見ていた。
 
 
 

■原監督の人間味溢れるドキュメンタリー映画■
 
 
患者さん側のかなり感情的な映像も多い中、行政は立法の視点でしか対応しない。
 
私は国や県がもうちょっと医学的な研究や臨床をサポートすべきだと思った。
 
患者さん達や家族が感情的に訴えても、医学的に証明されないと立法は動かないのではないか?
 
 
原監督は水俣病の患者さんやそれにまつわる人々の人間味溢れる部分を大事に作られたとのこと。
 
世界において水俣病についてあまり知られていない様子。
映画で世界中の人が知れるといいですね〜
 
 
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