荒野の狼

空に住むの荒野の狼のレビュー・感想・評価

空に住む(2020年製作の映画)
4.0
恐ろしいほどリアルな映画である、だからこれほど居心地が悪いのだ。評価が高くないのも見ている(見せられている)者がそこに気づくからである。これに気づけば全部見る必要はない。鑑賞対象として作られている訳じゃない。
見るに耐えないリアルとはこういうもんでしょうと、そこに焦点を絞った逆説的な意図は、評価に値する。ある意味、「いわゆるうんちく映画好き」に対する嫌味、皮肉、つらあてなのだ。すべてにおいて軽薄であり、なってないのが、こう言う現実、つまりイヤーな気分にさせられるお前たちの姿なんだよ、と。そういうものの集積、そしてそういうものを放り込んだゴミ箱のような映画。人にとってゴミほどリアルなものは無い。無菌なのでクリーンではあるけれど、いってみれば悪臭は放たないゴミ映画である。もちろん褒め言葉です。まさにここでこそ「映(ば)える」具体例として永瀬正敏、柄本明を起用したこの監督の慧眼は、サスガとしか言いようがない。これ全部意図的である。最低と思った人、貴方の負けである。『空(くう)に住む』と、読まなければいけない。
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