クリーニング店を1人で切り盛りしながら、借金にも追われるサンヒョン。
ベイビーボックスが設置された施設で働くドンス。
2人の裏の顔は、ベイビーボックスに入れられた赤ん坊を売るベイビー・ブローカーだった。
ベイビーボックスから密かに赤ん坊を連れ出した翌日、赤ん坊の母親ソヨンが戻ってきたことで、2人がベイビー・ブローカーであることがバレてしまうのだが、ソヨンは何故か赤ん坊の養父母探しに同行すると言い出して・・・。
もう少しギスギスした感じのストーリーを予想していましたが、それとは違う全体的にフンワリとして静かな内容でした。
取り扱っている題材は、ベイビーボックスに違法な養子縁組という重いものだし、登場人物もそれぞれに不幸な立ち位置にいるわけですが、総じて皆んな優しい思いを持ったキャラ設定なので、やがて互いに許し、分かり合って疑似家族を作り上げていく流れは、ロードムービーのど真ん中といったところでしょうか。
こうした静かに流れていくストーリーを、キッチリと最後まで魅せ切るところが、是枝監督の巧さなんでしょうね。
「繋がり」であったり「善意」であったり、そこに込められた作り手の「願い」を受け止められるぐらいには、まだ自分の心も荒んでいないと認識できた作品でした。
