映画を自分の人生のどこかに重ねてしまうことが癖になってしまっているわたしにとって、少し落ち込む映画だった。
産む人。育てる人。盗む人。
母を知らない人。母を待った人。子が離れていく人。
買う人。欲しい人。欲しかった人。
わたしはどれなんだろうと思いながら観ていた。
総評としては悪くない。と思う。
しかし…これまでの是枝作品は徹底的にシンプルなテーマが軸としてあったが、本作においては、テーマが乱立してしまい、結果ストーリー全体がボヤけてしまったかと思う。
特に最後なんぞ、登場人物の気持ちも時間も全てが急展開すぎて、あれよあれよと終わってしまった。
そして子役。ウジンの存在はどうだったのだろう?
子どもと動物は感動映画の鉄板と言われているが、それらの使い方は時に双刃の剣となる。
私は本作ではウジンの存在なくても成り立ったような気がしてならない。
ウジン君のキャラクターは、ムードメーカーで、大人達が言えないことをサラリという、子どもらしさのステレオタイプ。これまで子役には脚本を与えない徹底的な是枝演出で評価されてきただけに、本作ではウジン君のキャラクターがアンバランスな印象を与え、ストーリーを無理に華美にしている気がした。
大きなお世話であるが、パルムドール受賞するほどの力を持つ是枝監督が、わざわざこれをやらなくてもいいのにな…と思ってしまった。エンタメに寄せたのかしら?
ウジン君の活躍の結果、物語の中心を担うはずの赤ん坊が置き去りにされてしまっていた。是枝監督だったら、赤ん坊の表情や不意に出た声、空気を読まないオナラなどを用い、大人達の気持ちを楽に動かす演出ができただろうに、、と残念な気持ちになったことも事実だ。
是枝監督の韓国作品。
外国語のよさと悲しさ。
是枝さんは日本人だからか、選ばれた役者も日本人好みの顔立ちであり、特にソヨンは「万引き家族」にも出演していた松岡茉優さんそっくりだった。
日本語だったらもっとグッときたのかなと思いつつも、字幕だから届いたものもあるはずだ。