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ベイビー・ブローカーのアイのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.6
善とは何か?悪とは何か?観ているうちに倫理観が揺らいでくる。捨てられた者たちによる疑似家族、心温まるロードムービー。結末が夢物語でしたが、正しさだけでは救われないこともあるので。あれは是枝監督の提示した希望なのだと受け止めました。

韓国舞台で韓国俳優をキャスティングしても是枝映画だった。しかし、こんなにも優しい映画だとは!ソヨンの「生まれてきてくれてありがとう」は観客の心に響いたのでは?あれはメッセージだと思う。~君が生まれてきたことを肯定できないなら僕が肯定しよう、生まれてきてくれてありがとう~、という。

自己責任という言葉が声高に言われるようになって、いろんなことを効率で考えるようになった。それが、命にまで適用されるようになった。~生きるに値しない命があるのか?~ といったことをNHKクロ現で話していた是枝監督。万引き家族は「家族」の映画だったけど、ベイビー・ブローカーは「命」の映画だった。産む前に中絶するよりも、産んで捨てる方が悪いのか?というソヨンの台詞。中絶を殺人だと考えれば、命を奪わないだけマシとも言える……、いろいろと考えさせられる作品でした。
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