まーさん

ベイビー・ブローカーのまーさんのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督は罪を犯した人に対するまなざしが優しいなあと思った。私も、罪を犯す人の生い立ちなどに関心があるので、一概に、悪い!!!と断言できない派だし、今日は予告編で囚人演劇の映画もあったから、その考え方にはとても共感する。「同じ境遇で育ったけど犯罪者になる人とならない人がいる!だから犯罪者は悪いんだ!」と言う人もいるし、そう言うこともわからなくはないけど、確かにでも悪いんだけど、だからといってひとつにまとめないで欲しいなと常々思ってる。「そうせざるを得ない切羽詰まった状況」に対して、その状況をつくりだした根本を責めない姿勢は、また同じ状況を作り出すだけだと思うから。この映画は、安倍さんの事件を片隅で思い浮かべながらみた気がする。
ペドゥナが、モーテルの外で無線を聞いている時に「売ろうとしてるのは私たちなのかもしれない」というようなセリフが、とても沁みた。最近、「福祉は制度化できるか?」という問いに対する宇沢氏の文章を読んだところだったので、余計に理解が深まった気がする。私たちは形にならない人間という生き物を生きているのに、制度の中にそれを落とし込もうとしたときに、「だから悪い、だから3年の刑、」などと言うのは容易だが、そこでは語れない膨大な要因が無視される危険性も孕んでいるわけで、人が人として対峙するには、ある時に制度というものが邪魔になることもあるのだ。

映画の冒頭、雨の降る階段のシーンからポンジュノのパラサイト風味を感じで、ラストでソンガンホが彼をそうしたのだろう、というニュースもパラサイト風味だった。まあ、社会問題を映画にする人は視点が似ているのかも知れない。ここ数年でハマった韓国映画によく出てくる人たちのオンパレードで、個人的には精子が少ないと嘆く男性が好きで、ああやはり真面目な演技なのに人間味が滑稽だわあ〜と微笑ましくなりました。オーバーオールの子がとてもいい味だしてる。
観覧車のシーンで泣いた。
私はねぇ、やっぱりねぇ、家族というものは、血のつながりではなくて、お互いを思いやれるなら、どんな人ともチームになればいいと思うのよ。この映画の関係性にもし警察がいなかったら、このチームは家族になれた気がするんだわ。ペドゥナは彼を育ててるし他の人たちも関係してるんだけど。んー。まあでもそうだね、、ペドゥナがいなかったら、この家族は隠れて暮らさなきゃいけなかったしな…。となると、関わってくれてよかったのかな。難しいね。他者を利用しようとしたり、見てみぬふりをする人がいる限り、まだまだ世界はクソなのかもしれないですね。
まーさん

まーさん