Tommy

ベイビー・ブローカーのTommyのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.6
冒頭の夜のどしゃぶりの雨の降る階段のカットで、パラサイトを連想してしまった。
夜×雨×階段を使う時は今後、映画監督は用心してほしい。

IUはメイクが崩れようが終始かわいいので、登場人物全員が彼女を好きになるのは自然だった。
この映画はこの人の愛され力でなんとかしてる部分が多い。

正直言うと、今までの是枝監督作品と比べると、ちょっとわざとらしいというか、薄っぺらくて、そんな事まで台詞でハッキリ言っちゃうの…?ってシーンが結構あって戸惑った。
ソンガンホの役を『サンちゃん』と訳すなど字幕の付け方に違和感があったので、もしかすると字幕に問題があるのかもしれない(他の韓国映画や韓国ドラマを参考に考えると、歳上を敬う文化なのでサンヒョンさんorサンヒョン兄さんの方が自然だと思うが、文字数の問題でサンちゃんにした可能性大)

あと、ベイビーブローカーを普段から行ってる2人にしては、良い人すぎない?
2人なりに買い手を厳選しているにしても、ベイビーを売買する行為はこの世の犯罪の中でもだいぶ残酷行為(買い手が悪ければ臓器提供させられかねないし)なので、結構しっかり2人の倫理観がぶっ飛んでる描写がないと、普段から行ってる感じが出ない…

例えば施設で虐待行為があるからそこから逃してあげるためにブローカーを行うとかならわかるけど、施設育ちのドンスが施設を気に入ってる描写があるからそれは絶対ないし、借金に追い込まれてお金欲しさにブローカーを行うにしては、取り立て屋のヤクザが弱すぎる(韓国映画のヤクザを舐めるなよ…)のでブローカーなんてしなくても簡単に踏み倒せそうだし、そもそも1人の売値1,000万ウォン(日本円で100万円ほど)なので、ハイリスクローリターンすぎる。

ただ、キャストと映像技術、音については申し分なかった。特に赤ちゃん。

是枝監督ってこんな安っぽかったか…?という印象になったのは、今回、オール韓国人キャストのため、必然的に韓国映画として観る事になり、他の韓国映画とどうしても比べてしまうことが原因だと思う。

普段から観ている韓国映画(その中でもある程度クオリティの良いものしか海を超えてやってこないのは分かってる)のレベルがいかに高いか気付かされた。
これが、広瀬すずと阿部寛と坂口健太郎と安藤サクラとかで撮ればいつも通りの『是枝作品』になっていたのでは…?
そうだ、日本版リメイクやろう。
是枝監督は邦画が向いている。邦画界の中では傑作量産型監督なのだから。

今後も中国やら海外で映画を撮るようだが、もう脚本をちゃんとしたその国ごとの脚本家に書いてもらう方が絶対良いよ…
てか、海外で映画撮るの本当に難しいんだろうな
Tommy

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