良くも悪くも是枝さん。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
美しい言葉ではあるけれど、現実はどうか。
子供は生まれる環境や親を選べない。
親→子へと一方通行のこの言葉が、この作品の綺麗にまとまり過ぎた帰結と相まって、リアルな重みや感動を薄めてしまった感がある。
子→親への目線ではどうなのか。
「生んでくれて、ありがとう」と云える孤児がどれだけいるだろう。「育ててくれて、ありがとう」と云える被虐待児がどれだけいるだろう。
個人的には『空気人形』『万引き家族』あたりの毒も効いた是枝さんのほうが好み。
ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナと、錚々たる韓国俳優×是枝裕和という贅沢さはあれど、それぞれの魅力が果たして引き出せていたか。あと一歩、何か爆発する要素が欲しかったところ。