ロアー

ジャパン・ロボットのロアーのレビュー・感想・評価

ジャパン・ロボット(2019年製作の映画)
4.2
ケーララ州に住む年老いた父親は、雇ったヘルパーが次々と辞めてしまう頑固者。そんな父親を一人残し、ロシアで仕事に就くことになった息子は、自社が扱っている日本製ロボット"クンニャッパン"を世話役として父に贈る。はじめは拒んでいた父親だが、次第とロボットを息子のように愛し始め...

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そんなにたくさん観たことないけど、マラヤーラム語のインド映画ってやっぱり独特。ヒンディー語やタミル語のいわゆるボリウッド的映画と違って、どっちかっていうとA24から配給されててもおかしくない雰囲気。
カメラワークや構図もどことなくアート感あるし、今作のじわっとくるやるせなさや「ジャッリカットゥ」のリジョー監督が撮るような狂気や不穏さと言い、A24の北欧ラインの横にケーラララインとして並んでても違和感ないと思う(と、A24に対して拗らせた感情を抱いている私から言わせていただいた)。

ロボットから溢れ出ている”中の人感”や、またも中国と一緒くたにされているコレジャナイ日本のイメージは置いておくとして(日本人だってインド=カレーにターバンと思ってるから多分お互い様)、おじいちゃんとロボットのほっこり癒し系映画ではなく、相手を思う気持ちがあるのにどこまでもすれ違ってしまう父と息子のどうにもやりきれない切ないお話だった。

森に逃げるおじいちゃん
おじいちゃんを探す息子
人に危害を及ぼすかも知れないロボット
おじいちゃんの秘めた恋
ロボットを死んだはずの父親だと思いこんで殺そうとしている男(コイツが1番頭おかしい)

全部の要素が一点に向かっているのに映画の残り時間はあと10分。
収拾つくのかこれ!?と観ているこっちが焦ってハラハラしていたら、めちゃくちゃ切ないラストで全部回収されてしまって衝撃を受けた。
最後の「クンニャッパン...」の一言にええええ〜!???となってしまって、ヤダもうどこまでも悲しすぎる...でもこーゆー映画嫌いじゃない。むしろ好き。

なかなかの傑作だと思うけど、レビューを見ると評価が割れてる...個人的には日本でリメイクして欲しいくらい良かったのに。
日本向きのラストじゃないかも知れないけど「アイ・アム・まきもと」の例もあるし、似たような雰囲気で水田監督にうまいこと料理してもらえたら良いのにな。

ところで、いなくなったおじいちゃんを探すため、村の男たちが総出で捜索しようとしている中、「俺は行かない。松明を持てないから昼間の捜索って興醒め」と言っていた村人が何気にサイコでオマ好き❤︎
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