くりふ

ドーベルマン・ギャングのくりふのレビュー・感想・評価

ドーベルマン・ギャング(1972年製作の映画)
3.5
【きっと、うまくいかない】

TSUTAYA発掘良品で見つけたので。子供の頃にTVでみた記憶があるのですが、物語は完全忘却してました。かろうじて正義は動物に有!という健やかなテーマ?は思い出した。

1972年の低予算インディーズ作品ですが、その枠内での快作ですね。最近の、涙腺コロニアリズム犬映画はまったくみる気が起きませんが、こっち方面の(人間の)バカバカしさなら楽しくって、私は大歓迎です。

プロの銀行強盗だという3人組、いきなり失敗して物語が始まります。得た教訓が、「人はミスをする。ロボットがあれば成功するのに!」…でも彼ら、医者が患者間違えて手術した級のミスしていることに、どうも気づけていません。

そんな冒頭から爆笑で、この3 Idiotsが、どうなることかと興味津々になるのです。で、あるきっかけで「犬に強盗させればいい!」と閃いてしまいます。『アルゴ』級の発想だ(笑)。

呆れ…いや感心しますが、道のりは遠し。犬は自覚して金は奪えず、そもそも札束の見分けはつかないから、只の紙束渡されたら終わりジャン、なんて思ったりしちゃうんですよ。

でも、この3 Idiots、意外とイケそうな計画立てるんですね(笑)。当時の、田舎町の銀行を狙うってところがまず、ポイントでしょうか。で、6匹のドーベルマンに、デリンジャーとかボニーとクライドとか、歴代アメリカン・ギャングの名前付けたりして、調教に励みます。

この調教の日々が、巻き込まれた調教師や、主人公の恋人を含めた、人間関係の危うい変化と相まって、安いながらも面白くちょい説得的。

そしていわゆる、ミッション遂行型の展開になりますね。事前に、きちんと観客に強盗シミュレーションをしてみせています。計画自体が面白くて危ういから、そこには捻ったどんでん返しも不要。終盤は、はて、成功するの?をハラハラと見守ることに集中できます。

87分アイデア一発勝負!しかしドーベルマンってカワイイですね(笑)。

知られた役者さんは皆無ですが、音楽はアラン・シルヴェストリ!これが劇場映画でのデビュー作らしい。浮き立つファンクなBGMと、主題歌?Dog Honest The Gangの軽快で皮肉な響きがとっても愉快。

物語は寓話混じりのコメディ、といったふうに閉じて行きますが、これが、J・エドガー率いる(笑)犬たちの疾走と相まって、痛快です!

つられて続きがみたくなるのですが、続篇作られましたよねコレ。そちらもDVDレンタル、実現してほしいものです。さらに、何故かフレッド・アステアも登場する『3』もあるそうですが、当時、柳の下に何匹ドジョウがいたのかは、私は記憶にありません(笑)。

<2013.6.17記>
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