たなか

ボーイズ・イン・ザ・バンドのたなかのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます


 たまにはネトフリでティーン向けドラマか料理番組以外を見ようと思ってザッピングしていたら出てきたのでなんとなく鑑賞。

 見初めてすぐに思い出したんですが、これ名前は知ってるな、見たことないけど...トニー賞か、ブロードウェイでググっていたときに出てきたやつだ。いや、「ビッグバンセオリー キャスト」でググった時かも?
 とにかく、普段は見ないタイプのお話でした。舞台とか舞台原作のものを見るときは明るいミュージカルを選びがちなので。

 主人公のマイケルが等身大の人間として描かれているのがすごく心に響きました。なんというか、ちょっと嫌なやつなんですよ。それがいかにも「ステレオタイプの愉快なオカマ!」とかじゃなくて、自分のことが嫌いなことがある1人の人間であるというのが切実にわかって、なんだか嫌いになれない。
 登場人物みんながいい人で、嫌なところもある。それはゲイとか関係ない。「ゲイだから」じゃなくて、いいところも悪いところもあるただの人間で、そしてゲイ。それだけなんですよね。でも迫害されてる。

 映画を見た後に同じNetflixで公開されている「出演者が語る〜」を見たのですが、この映画の原作の原作というか、元になった舞台劇が公開された時代(1968年)には同性愛は今よりもっとタブーとされていて、この作品はすごく挑戦的だったと。今のLGBTQフレンドリーなブロードウェイしか知らない身としては、なんだか遠い昔のことのように思えます。でも、たった50年かそこら前のことなんですよね。大戦後だし、結構最近。
 そんな中でゲイとして生きていくこと、ゲイの自分を否定する気持ち、自分が所属するコミュニティへの葛藤が痛いほどわかって、痛いほどわかるなんて簡単に言っちゃいけないような気になりました。個人のいい加減な感想でも。
 
 最近同性婚の話題で住んでるとこの議員が炎上したんですが、ちょうどよく自分の考えを整理する機会になりました。
 同性婚制度を作ることが「同性愛は異質である」という社会的視点を否定することになりうること、多くのマイノリティが自分を偽らずに生きていけるようになること、誰かの「結婚したい」という気持ちが達成できるようになることにつながると思います。
 
たなか

たなか