梅ちゃん

映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
高校女子サッカーの世界を描いた『さよなら私のクラマー』の登場人物、恩田希の中学生時代を描いた作品『さよならフットボール』を映像化。原作は『四月は君の嘘』の新川直司。

類稀なセンスとテクニックを持ちながらも、男子に混じってのサッカーに限界を感じ始めている女子中学生の恩田希。こういったスポーツにおける性別問題をテーマにした作品として、2019年の韓国映画『野球少女』が思い出されますが、フィジカルコンタクトを伴うサッカーという競技の方が、男女間格差はより深刻なものとして描かれている。

劇中、幼馴染みの佐和ちゃんの目を通して描かれる、才能に恵まれながらも葛藤する天才の姿は、否が応でも応援したくなり、その努力に胸を打たれる。そして、在るがままの自分を受け入れ、無理して周りと張り合うのをやめ、自分の強みを活かし始めた時に、ぐいぐいと周りを巻き込んでゆく展開は、私たちの日常生活における教訓にもなり得るのではないでしょうか。

また、ここで悩み苦しんだ故に身に付けた強靭なフィジカルが、高校編で女子サッカーしか知らない連中の眼前で輝くとき、とてつもない感動が得られるため、TVアニメ『さよなら私のクラマー』はセットでの鑑賞がオススメ。どちらが先でも良い。そしてとても良い。