おりく

へんしんっ!のおりくのネタバレレビュー・内容・結末

へんしんっ!(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

表現するということの問を、作品を通して、監督が考えている思考を一緒に辿っていく作品であった。
映画はひとりでは撮れない。周りの人と作品を一緒に作りつつ、監督という立場から一方的な関係性を作りたくないとはじめに監督は語る。それは、普段から人は助け合って生きていることを誰よりもすごくよく分かっているからこそ、出てくる言葉だと思った。

そして、監督自身が障害を持つからこそ、周りの人が感じるどこまで踏み入っていいのかという壁が、表現する上で、周りのスタッフとお互いの思考の狭間にどうすり合わせていけばよいか・どこまで踏み込んでいいのかという問と同時並行で語られている。

異なる障害を持つ人同士もそれは同じで、お互いの思考や立場をどう考えているのか、それを踏まえた表現活動について語られているが、それらは全て「表現すること」の問に繋がってくる。
監督は表現自体もある種暴力的になり得ることを知り、どう向き合うのかも考えていく。

そして、表現は思考や他人との境界すべての壁をとっぱらうこともできるという、ラストシーンがとても美しかった。それぞれの方法で表現を追求する人たちが、みんなで同じ空間を作っている時間がとても尊くて(通訳の人も監督も入っていくのがすごく良かった)、自然とほほ笑んでいる表情がとっても美しくて、胸にあついものがきた。
おりく

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