へんしんっ!の作品情報・感想・評価

へんしんっ!2020年製作の映画)

上映日:2021年06月19日

製作国:

上映時間:94分

あらすじ

「へんしんっ!」に投稿された感想・評価

こんなにも素晴らしい!と観終わったあと立ち上がりたくなる映画ある?

「へんしんっ!」というタイトルは身体障碍がある石田監督自身がカメラをもって映画を撮ること、ダンスという身体表現を使って自らを変えること。それともうひとつ、この映画観ている側の"障碍"という言葉に対する考えさえも「へんしんっ!」させてくれる。

ダンスのシーンももちろん凄いものを観た気になるのだけど、わたしはそれ以上に撮影スタッフ、録音スタッフ(ともに健常者である)が悩みながら石田監督と”映画”という表現の共通言語を通して一緒の方向に向かって行く箇所が印象的だった。
ぴあフィルムフェスティバル開催当初より続く、世界でも珍しい自主製作映画のコンペティション、PFFアワード。2020年度グランプリに選ばれた。

【あらすじ】
車椅子に乗った監督が、しょうがい者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー。映画製作を通じて様々な人と関わりあう中で、多様な"違い"を発見してゆく。周囲の人を巻き込む、彼の映画の作り方にも注目。
2020.12.31
健常者と障害を持っている人たちとの繋がりだけじゃなくて、障害を持っている人同士の交流も描かれていて、耳が聴こえない人と眼が見えない人が手を通して繋がり合うっていう最後のシーンはものすごく感動したし、健常者の役割っていうのも少し理解できた気がした。
DOKUSOにて鑑賞。

表現とは何かを根底的に問われていると感じたドキュメンタリー。

監督である石田さんがダンスという表現に挑戦することにより、何となく石田さんが望むであろうカメラワークをしていた本田さんの撮る映像がガラッと変わるのが印象的でした。

取材を通して被写体が製作者自身になっていくというドキュメンタリーは多々ありますが、石田監督の場合「障害と表現」そして多様な障害の共通項を探し、繋げるという芯がある故のクライマックスは見事でした。
私は「ドキュメンタリー映画」についてもっと知る必要があるみたいだわ…
KUBO

KUBOの感想・評価

4.0
これはヤバいドキュメンタリーだったなぁ。こんなドキュメンタリー出されたら、フィクションは太刀打ちできない。

テーマは「障害と表現」。

監督で主演でもある石田くんは自ら障害を持つ車椅子の大学生。その石田くんがそれぞれ違う障害を持つ表現者を繋いでいく。

それぞれの登場人物がみんな魅力的。聾者の女優さん、盲者の女優さん、障害者と健常者を繋ぐコンテンポラリー・ダンサー。

車椅子の石田くんがインタビューすることで、普段は交流が少ない異なる障害を持つ人同士の本音が引き出されて、自然で押し付けがましくないドキュメンタリーとなっているところが秀逸。

その監督としての石田くんも被写体になり、制作過程自体がドキュメンタリーとなっているのもおもしろい。

また、共に表現活動をするのが最も困難と思われた視覚障害者と聴覚障害者を取り持つのが、視覚、聴覚に比べて忘れがちな触覚であるところも興味深い。

ぴあフィルムフェスティバルにしても、こういうドキュメンタリーがグランプリになるのは珍しいことだと思うが、これだけのものを見せられてしまうと、他との比較すら必要ないくらい、コンペティションの中でもワン&オンリーな作品だったろう。

クライマックスは、主演の石田くんが「最も縁遠い」と感じていたダンスに取り組む。「障害と表現」というテーマが見事に結実したラストシーンだった。
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0の感想・評価

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五体や五感のうちの欠損は、何を持ってしても補いきれない部分があるのかもしれない
けれど、身体の温もりによる交感は、すべてのひとが触れ合い交わすことのできる、唯一共通の"ことば"なのだと、作品から伝わってきた
手と手を、空間を包んで這わせる そのあいだに佇む空気を撫でる 両者の手が触れるその直前のあの隔たりに、何かとくべつな力が生まれ、光が生まれているようにもみえた
tetsu

tetsuの感想・評価

3.9
ぴあフィルムフェスティバルのオンライン配信が10月末で終了ということで、機会があり、鑑賞。


[あらすじ]

車いすの監督が、様々なしょうがい者へのインタビューを通し、いつしか、自分や周りとの関係性を記録することになっていくセルフドキュメンタリー。


[感想]

卒業制作という経緯もあり、映画としては、かなり見辛い部分や荒さを感じるものの、題材そのものの特殊さゆえに、社会的意義のある映画だと思った。

僕自身、現在、卒業制作に取り組んでいるということもあり、作品そのものの方向性が、製作陣の対話や意見の変化によって、次第に「へんしんっ!」していく様には、学ぶ部分が多く、とても参考になった。


[作品の"重心"を支える砂連尾理さん]

本作には、『ハッピーアワー』制作の際、演者に作品の核"身体表現"の指導などを行った、振り付け師兼ダンサーの砂連尾理さんが登場する。

本作の主体は、監督で自身もしょうがいを持つ石田智哉さんなのだけれど、その展開を導いていくのは、間違いなく、砂連尾理さんだ。

石田さんと、彼と共に取材をするクルー(同級生)の関係性に疑問を投げかけ、お互いの理解を深めるコミュニケーションを促す。

しょうがいを持つ表現者へ取材していく石田さんを、あえて表現者の側に取り込む。

それらの試みのひとつひとつが、このドキュメンタリーの"重心"を支えているとも言え、彼の存在があるからこそ、本作が興味深い内容になったのではと思った。


[他者を理解することの難しさ]

本作では、健常者としょうがい者のみならず、しょうがい者としょうがい者の間に生まれる溝についても語られるのが印象的だった。

「しょうがいを持った人」と、ひと括りにしようとしても、それぞれが抱いている問題は違う。

そのため、「しょうがい者という立場だからこそ、様々なしょうがいを知りたい」と語る人たちの意見が、かなり新鮮だった。


[作品そのものに感じた理解の難しさ]

ただ、一方で、映画の演出として、健常者である自分にとっても(だからこそ?)、理解が難しいと感じてしまう部分があったのも事実だった。

特にクライマックスに写し出される、砂連尾理さんを筆頭とした関係者による身体表現のシーン。

このシーンでは、間違いなく、身体表現を行う当事者にしか分かり得ない世界が表出していたため、画面を見つめている自分自身は、怪しい宗教を見ているかのような感覚を抱いてしまった。

それは『ハッピーアワー』における身体表現WSを見たときと、ほとんど同じ感覚だったけれど、これこそが、他者や他者の世界観を理解することの難しさなのではないか?とも、後々思った。

無意識に抱いている「他者への偏見や違和感」、それに気づいて取り払うことこそが重要であることは分かっているつもりでも、作品を観ているうち、自分自身にも見つめ直す部分が多いことを気づかされた。


[終わりに]

バリアフリーを実現するため、作品自体が日本語字幕を採用しているなど、構造自体に、様々な配慮を感じられた本作。

映画に、ある程度の見やすさや分かりやすさを求めてしまう自分としては、全体的に地味な印象を受けずにはいられなかったものの、そんな感想も踏まえて、他者に対する自分自身の想像力を、もっともっと磨いていく必要があるなぁと、思い知らされる一作だった。


参考
へんしんっ!|DOKUSO映画館
https://dokuso.co.jp/introduction/309
(配信はこちら)

『へんしんっ!』93分 監督:石田智哉 | uP!!!
https://up.auone.jp/articles/id/81886
(配信はこちらでも。ちなみに、auスマートパスプレミアム会員の方は、見放題です。)  

映画チア部がオススメする「PFFアワード2020」後編 "ぴあフィルムフェスティバル×映画チア部"vol.3
https://note.com/moviecheerkobe/n/nb299e05a5bd4
(こちらにも寄稿しております。併せて、チェック。)
shiron

shironの感想・評価

5.0
健常者の存在意味

聖書は全盲の人の存在意味を「神のわざがこの人に現れるため」と記している。
じゃあ健常者がいる意味は?
目の見えない人の手助けすること?
もちろんフォローは必要だと思うし、むしろ私で出来ることには積極的に参加したい。
でも「手助けしてあげる」や「手助けさせてもらう」に、どうも一方通行な違和感があって心がしっくりきませんでした。
もっとフラットな関係にはなれないものか…

この映画は、監督自身が殻を破って変身することで、新しい発見や新しい関係が生まれる事を描いていると思いますが
私にとっては、この世に健常者がいる意味を与えてくれた映画でした。

健常者は目の見えない人と耳の聴こえない人を繋ぐ為に存在したのだ!
ラストが圧巻!
パラダイスというものが存在するのなら、紛れもなく一番近い景色を見せてくれたと思います。
Terrra

Terrraの感想・評価

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ちょいちょい見知った顔と場所が出てきて《映像身体学》という一般的に耳馴染みの薄い学科の目指すところが非常によくわかる。
ただコミュニケーション手段が異なるしょうがい者どうしの表現パートは、声を封印している事に違和感を覚えた。そして石田監督の視点でカメラを回してほしかった。
#PFFアワード2020
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