たまには長々と。
俳優も音楽もファッションも背景も、全部品があって見ていて心地いい映画です。
考え事というか、自分の内面に潜っていくのが好きな人共通の苦悩や哀しみというのは間違いなく存在して、時にそれらは芸術として、明るいものとして世に現れることがある。
でもその大半はそんなに綺麗なものじゃなく、他人への恐怖や、社会の矛盾、どうしようもない苦しみから死を意識したり、信頼できる人や酒、薬に救いを求めながら必死に生きて、昇華されたものだと思う。
作者が、そういう苦悩に溺れながら生きてきたのではないかと、痛いほど感じさせられる。
他人やこの世界は知らないことだらけ、欺瞞で固められた不透明なもので、想像で補って自分を守らなきゃ到底生きていけない。
知らないものへの恐怖は想像を生み、その想像と現実が食い違い、新たな恐怖が生まれる。
生きている限りその輪廻からは逃れられない。
だとしたら、この世から離れるのが一番いいだろうと思ってしまう。
そんな面倒なことを考えない人、もしくは徹底的に自分本位で生きていける人には関係のない話かもしれないが、広い目で一切を解釈すれば行き着く先は同じ場所なんじゃないだろうか。
なんだか宗教的な話になってきたような気もしますが、
死を除いて、この世で一番尊いものは、個人と個人以外の不純物が存在しない、純粋な愛だと、それが存在するものだと信じたい。
そう思いました。
見た映画にはついつい高い評価をつけがちですが、本当に良いです。DVD買おうかな。