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キャッシュトラックのogoのレビュー・感想・評価

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
3.2
静かで重たいステイサム。

ガイ・リッチー×ジェイソン・ステイサム、更にジョシュ・ハートネットにスコット・イーストウッド、極めつけにアンディ・ガルシアと来れば、期待せざるを得ない作品だったけれど、結果はうーん…?

台詞回しにガイ・リッチーらしさはありつつ、期待したようなドライブ感やスピード感は皆無。ステイサムも序盤の無双から後は過去エピソードの中での非情さはありつつ、終始大人しい(打たれても撃たれても死なないタフさはあれど)きっと皆が期待するステイサムアクションは望めない。

プロットも風呂敷拡げた割に、結局何だったのよと言う、どうにも噛み合わない居心地の悪さ。息子を失った復讐譚と言うには、あまりにエピソードがとっ散ちらかっているし、監督の過去作のように多数の登場人物の思惑が収束していくカタルシスも無かった。FBIにも顔を効かせるステイサムの組織が一体何だったのか、そもそも部下が一人稼働不能になった時点で休暇中のボスにヘルプ求める組織って何なのさ。

原題は『Wrath of Man』

「英雄か/悪党か」と問われても、観る限り、下手こいて息子を失った小悪党が逆恨みで特攻して結果何とかなったとしか思えない哀しさ。

2005年の『リボルバー』しかり、ガイ・リッチーはステイサムと組むと物語を深淵にしたい病にでも罹っている気がする(『リボルバー』は好き)

近作のガイ・リッチー監督作では『ジェントルメン』が大変良かっただけに、ちょっと残念な気持ちになった作品でした。
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