ねてぃ

映画 太陽の子のねてぃのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
5.0
見れてよかった😌

「戦争なんか早く終わればいい!勝っても負けてもいい!」

戦争の中生きてる「ごくふつうの」人たちは、毎日ただこの一心だったのかな、、、





⚠️以下ネタバレと私的意見盛りだくさん注意⚠️



なんか、私の科学者イメージとそのまま一致してて、主人公の言動がすーっと入ってきました。

「おれだけ死なんわけにはいかんのや!」ていう弟のセリフ、戦場で仲間の死を目の当たりにしたら、みんな思ってしまうのかなあ、、、とか考えました。本当に自分でいられることって普通じゃない、大好きな人の前でも元気で「前と同じような」自分を演じないといけない、そんな呪縛ってあるなあ、、、て、弟を見てて思いました。

原爆投下を直接的に自分や身内や知り合いが経験するんではなくて、あの戦争に、現代人の私たちに近い視点で身を投じているように感じました。もちろん違う立場だけども。

当時は贅沢だっただろう白いご飯が、たくさん出てきて、(裕福な家庭だったというのもあるだろうけども)白ご飯が愛情の届け役になっていたなあ、て感じた。あなたが帰ってきてくれて嬉しい、みたいな愛情、変えられないことで応援したくないことでも相手を思ってつくってる、みたいな心情が伝わってきた気がしました。

あと京都大学、京都の街並みが綺麗で、全体を通して、結果的に「戦時中」ということが視覚的に薄められていたように思いました。戦地で戦うシーンはなかった気がするんです。主人公が科学者っていうのもあってかなあとは思うんですが、どう戦場で戦った人の気持ちをわかろう、共感しようとしても完全にわかってあげられない、もどかしいみたいな感覚が、どこか私たちに似ている気がして。

イッセー尾形の妻?が亡くなったあと、ウランを貰いにきた主人公に対して、自分のせいなんてことはない、と言いながら、「早よ行ってください、、、!」って言うシーン、気持ちが詰まった。イッセー尾形の顔は見えないけど、すごく胸が締め付けられて、辛かった。いろんな人の大切なものがどんどん失われていく中で、安全な場所で研究を進めるけれど、思うようにいかないことが続いている中で、「自分たちは何をやっているのか?」「何のために研究をするのか?」その意義を考えずにはいられないだろうな。そんな中で、果たして何が人として正しい決断なのか?という問いは、きっと合わないんだろうなあ。間違っている気持ちなんてないよなあ、てなりました。

主人公は、戦争の中でなにか偉大な業績を世に残した者でも、大極悪人でもなくて、科学者の才能がある京都大学の院生として最後も終わりましたよね。この後どうなったんだろう、気になります。
君も科学の、破壊の美しさに取り憑かれたんだ!みたいな心の中の外国人(アインシュタインなのかな)の声を聞いて終わって、、、彼の人生、物語がこの後も続いたんだということを強く心に残してくれた気がします。
戦時中の頭のいい学生や研究者の頭の中には、博識な外国の白人先生がよく住み着いている気がします。ジブリの風立ちぬを思い出しました。自問自答を繰り返す心情をわかりやすく表現しているのかな?

核分裂の連鎖反応?は人間の世界でも同じような関係性があったりするなと思います。有機的連関ていう言葉を最近よく聞くんですが、なんか、似てるなあ、て個人的に思いました。

忘れられないのが、弟が再び軍に戻る時のシーンで、行って参りますを言った後に敬礼する、弟に手が震えていて、でも表情は崩さずに、涙ぐみもせずに、背筋を伸ばしていた姿が、1番気持ちがぶわああああっと湧き上がってきました。単なる恐怖とかではなくて、もっといろんな色が混ざり合ったような、赤黒い青白い、茶色い、熱くてどこか冷たいような、本当に色々なものがかろうじて一緒に存在できている感情?形容し難いけど、完全にはわかることができないだろうな、弟の気持ちは。
お母さんが耳を触るシーン、幼い頃と変わらない、息子の愛しい耳なのかなあ、とか、抱きしめてしまったら引き止めてしまうから抱きしめられなかったのかなあとか、まだ母の気持ちを知らないけれど想像してしまった。
感情をぶつけ合うのはドラマチックだけど、現実味にはかけちゃう。気持ちをあえて伝えないようにすることで、初めて表に出てくる相手への思いには、リンゴを絞って取れたみたいに濃い感情が込められてるように感じます。この作品から、すごく、それが、伝わってきました。

最後の綺麗な海を泳ぐ二人とそれを見守るせっちゃん、、、若いもんだけで休みに出かけた時のシーンなのかな?でも最後に流れたので、ああ、こんな、平凡な未来(が続くの)を夢見ていたんだなあ、、、天国では3人幸せにいてほしい、、、と思いました。目を瞑るほど綺麗なんですよ、海が。

なんだか、書き足りないけど、書くの疲れてしまいました。是非見ていない人は見に行ってくださいね。



最後に余談ですが、自分の地域では、8:15に1番始めに公開だったので、最初に黙祷の時間があったりするのかな、と思って早くから見に行きましたが、、、、紙兎ロペでした、、、ロペを心の中で初めてミュートしました。
映画本編のことではないけれどちょっと残念だったかなあ。
あと、いま長崎で大学生活を送っているから、もっと長崎のこと原爆のことを学ぼうと思った。
ねてぃ

ねてぃ