はるみ

映画 太陽の子のはるみのネタバレレビュー・内容・結末

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

戦争という辛い生活の中で様々な犠牲を払いながらも、何気ない日常をひたむきに生きる若者たちを描いた作品。

血の繋がらない母の愛を素直に信じきれず実子である弟に遠慮してしまう主人公が、戦地に戻っていく弟の為に作ったおにぎりの中に込められた母の愛を、自分のおにぎりの中にも同じように感じ取ることで人としての感情を取り戻していくシーンは圧巻です。貴重な白米を大事に少しずつ貯めて残しておいた母の愛の温かさにぐっときます。

また戦地に送り出さなければならない苦しみをひた隠しにしつつ息子の耳にそっと触れる母の想いを無言で表現する田中裕子さんの演技にも胸を打たれます。

散りゆく運命を受け入れつつも恐怖を悟られまいと必死で明るく振る舞う弟の心情を丁寧に演じる春馬くんの演技一つ一つに涙が止められません。

戦争が終わった後の未来を真剣に考え、今を耐え忍ぶ芯のしっかりとした女性の、あの時代言ってはいけない本心、感情を爆発させるシーンもまた涙が溢れます。

幼馴染みの3人のつかの間の楽しい時間が流れる海シーン、もしかしたら最後になるかもしれないと分かっていながらも未来の話をしようと繋がりを確かめ合う3人‥

どのシーンも涙が溢れスクリーンが見えなくなる程でした。
春馬くんの言う「想像力を届ける仕事」を俳優勢が丁寧に積み重ねた作品です。

ぜひノペライズ本も読んでください。泣く泣くカットされた背景などが見え俳優達の思いがより深くずしんと届きます。
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