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映画 太陽の子のmstashdのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
3.0
これは戦時中、京都帝大の原子物理学研究室が核分裂の研究とアメリカより先に原子爆弾を開発することを試みていた実話をベースにした物語である。

戦時中、日本の科学者や技術者はあらゆるものが欠落している状況で、それでもその状況に不平を言わず、諦めず、アメリカやソ連よりも早く開発することを信じて夜も徹して研究に没頭していた。

信念だけで突き動かされていた戦争への意志とは異なり、科学者とは合理的な思考をもっているにも関わらず、この勝てるはずのない開発競争にどういった心境で望んでいたのだろうか。勝てないとわかっていながら時風に流されていたのか、それとも本当に信じていたのか。
その心情にとても興味がある。

大学は政治や国家から独立している存在のはずだし、特に京大は自律性と独立性が強い大学である。そこで、自分がいた頃からたった50年前にこのような研究をしていた人たちがいたことに驚きを覚えるととともに、どんな時代も科学者というものは、研究対象に真摯だということに共感と感銘を受ける。
時代に流されずに自分が打ち込めることに携われることが一番の幸せなのではないかと思う。
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