昨年訪れたヴェネツィアビエンナーレで、ジョージア館を見た。ジャルディー二会場の華やかさから少し距離を置いた街角の古い建物の中、空虚な空間の中に漆黒のモノリスが鎮座していた。それは旧ソ連によって開発され>>続きを読む
ある種の現代日本的フィルムノワールのような作品。ファム•ファタール的なヒロイン。映像は綺麗だけど、やや技巧的か。脚本は既視感がある。もう少し切なさが残れば。
よくある女子2人の愛憎の物語かと思ったが、起伏に富んだ脚本で、多様に絡み合う伏線、あり得なかった、そうなりたかった幻想の描写があり、重層的で複雑な構成で見応えがあった。
キム•ダミは梨泰院クラスの時も>>続きを読む
ゴダールの遺言。驚愕の作品だった。
死の直前まで、自らで書き、声を残し、思想を紡ぐ。その肉声はたどたどしいにも関わらず。
最期の時を迎えるまで、これほど執拗に表現ができるものなのか。そこには、メランコ>>続きを読む
「ミツバチのささやき」を20歳くらいの時に見て、未だに自分の中でアンゲロプロスの「霧の中の風景」に次ぐ傑作であり続けている。テオ•アンゲロプロスとビクトル•エリセは間違いなく今の僕の感性を育んでくれた>>続きを読む
江戸時代のムラ社会を描いた作品。想像するに、脚色や誇張なく、当時のムラ社会のありようを淡々と静かに描いた作品はあまりないのではないだろうか。
昨年上映された「福田村事件」がムラの外側から「不気味なもの>>続きを読む
漫画やアニメの実写化はどうしてもキャラクターの先見的イメージとの差異が気になってしまう。
過去に原作のイメージをうまく実写化できた作品としてはソラニンが思い出される。
ソラニンは漫画の雰囲気と宮崎あお>>続きを読む
ベトナム戦争映画をもう一本。
オリバー•ストーン、戦争3部作のこの作品を見ていなかった。
アメリカのベトナム戦争映画でベトナムの人々を描いた作品は珍しいのではないか。この作品の前半からベトナム戦争が内>>続きを読む
今年の年末年始はホーチミンで過ごした。
映画が好きになり始めた1980年代、ベトナム戦争を扱った作品がアメリカで多くつくられたように思う。いくつかは映画館で見て、その時の思い出も残っている。
なので、>>続きを読む
設定が色々気になりすぎて。4000人が乗船するクルーズ船だったら、もっと色々な人間模様が描けるのではと思ったり。船でなくても、例えばホテルでも成立できてしまう物語なように感じた。
どうしてもアアルトを映画館で見ておきたくて、東京を発つ前ギリギリに映画館へ。
アアルトはもっとも影響を受けた建築家の1人でもあり、幾つもの作品を見に足を運んだ思い出もある。
アアルトについて書くと長く>>続きを読む
一年無事に終わったので、休みはまずは映画をハシゴ。
ヴェンダースのドキュメンタリー以外の作品は久しぶりだ。
トイレ清掃員の平山の日常。平山を演じる役所広司の演技が絶品。作品によって、よさが引き出されて>>続きを読む
ゴジラはなぜこれほど長く愛されるのか。
それはただの怪獣映画を超えて、70年前の製作者のゴジラに込めた思いが残り続けているからだろう。
ゴジラは水爆実験の放射能を浴びて凶暴化したという設定であった。そ>>続きを読む
曇天しか映らないロードムービーといえば、アンゲロプロスの「霧の中の風景」。アンゲロプロスのような長回しもあったり。意識しているのかもしれない。
菊地凛子の慟哭は圧巻。
オリジナルの台湾版と男女の設定が逆になっている。オリジナルは男の女々しさがちょっと肌に合わなかったが、逆になり、かつ清原果耶の素朴さがあいまって、こちらはむしろ心地よく見れた。時間が止まるという設定な>>続きを読む
最初は設定がよくわからなかったが、観ていると理解が進み、確かに脚本と設定がよく練られていて、なるほどなと思う巧妙なストーリーだった。だが、その巧妙さゆえにフィクションとして作られた人間関係が目立ってし>>続きを読む
タイトルの感じからあまり期待せずになんとなく見始めたけどよかった。
子どもの時から帝都ものには弱いので、そこが割とツボだったのと目黒蓮と今田美桜の演技がなかなか。
特に今田美桜は、おしん的な卑屈さの中>>続きを読む
地位と不自由さは背中合わせだ。特に争いの渦中においては。まさに悲劇のプリンセスを描いた作品。
つくづく日本と韓国の関係の複雑性を実感する。同じ感覚は隣接諸国の多いヨーロッパでも共通するのであろうか?>>続きを読む
ウエス•アンダーソンらしい表現とは、書割のセット、シンメトリー、正対アングル、セリフの抑揚の均一的テンポであるが、まさにそれのみで作られた短編。
小説が原作らしいが、そのテーマは非情。端的にいうとイジ>>続きを読む
旅は紛れもなく、人生の糧である。
1つの旅からどれほどの糧を得られるか。どれほどの密度のある旅をしているか。
そんな旅を自分はできているかを改めて考えさせられた。
中国・深圳でゴッホの複製画を描いて>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
クラピッシュの新作。
原題はEN CORPS、直訳すると「身体」、読みはアンコール。二重の意味が作品から読み取れる。これはタイトル通り、ダンサーを主役にした作品。今作はクラピッシュ的な群像劇というより>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ロシアのウクライナ侵攻とコロナ禍があったから、宮崎駿監督は再度作品をつくったのではないだろうか。
戦争、母の死、ユートピア、生命の起源となる世界、パラレルワールド。
パラレルワールドで、争いのない世>>続きを読む