建野友保

シカゴ7裁判の建野友保のレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.1
1968年に米国で起きた史実にもとづく法廷映画ですが、どうしても50年後の日本と照らし合わせてしまいますね。とくに権力を有した者たちの傍若無人な立ち振る舞いとか、「左」と呼ばれる人々が実は互いに相容れないものを持っていて協調できない点など。
裁判官がどうしようもない悪党として描かれていて、多かれ少なかれ、似たような裁判は行われていたのだろうと想像できます。ただ、こうして50年前の過ちを露わにした映画が作られる米国が、羨ましく思えてくるのも確かです。
「ボヘミアン・ラプソディー」同様に、実話ベースながら史実と異なる部分も多いようで、このあたりはちょっと考えちゃいますね。もっとも、それ故にエンタメ作品として上々の満足作ではあったのですが。
主題歌に使われたCelesteの「Hear My Voice」が秀逸。声を上げることすら裁判官から封じられたブラックパンサー党代表の痛々しい姿と重なります。
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