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シカゴ7裁判のKotaのレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.4
“世界が見ている。”

1968年、ベトナム戦争に反対した若者達の団体がシカゴで平和的なデモを行ったところ、警察と衝突し暴動に発展。団体の代表者達は暴動を主導したとして裁判にかけられるが、その裁判は歴史に残るような“理不尽”なものであった。

Netflix映画には毎年他とは比べものにならないくらいの名作が登場する(“ローマ”、“マリッジストーリー”)けど、今年はこれなんじゃないかと思うくらいには良かった。エディ・レッドメインやジョセフ・ゴードン・レヴィットなどの好きな俳優が出ていることが観るきっかけではあったのだけど、この複雑な実話を見事に切り取った監督と、各々の役者の演技力に鳥肌が立つ。

監督のアーロン・ソーキンは“ソーシャル・ネットワーク”の脚本家で有名だけど、前作で監督を務めた“モリーズ・ゲーム”は実話だからこその冗長な演出にイマイチだった記憶がある。なのに今作のテンポ感は凄まじい。冒頭それぞれのカットをセリフリレーで繋ぐシークエンスは音楽とともにカッコよすぎて一気に映画のなかに引き込まれ、2時間超えの長さもあっという間。

舞台はほとんど裁判所の中だというのに、弁護士と検事の感情を殺したプロの熱弁合戦と、証人や判事の苛つくほどの存在感に一時も目が離せない。論理的な会話が繰り広げられると思えば、いきなり理不尽な展開にぶつかり、そのバランス感が完璧。久々に心が震えた。これはアカデミー賞なるか。
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