takanoひねもすのたり

ノクターンのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ノクターン(2020年製作の映画)
3.5
Welcome to the Blumhouseシリーズの4作目。音楽家(に限らないと思いますが)というものは残酷な世界でステージで喝采を受ける存在はほんの一握り。
その座を争うことになる双子姉妹の話。


双子の姉妹、ジュリエット(シドニー・ヴィニー)とヴィヴィアン(マディソン・アイズマン)は幼い頃からピアノの腕を磨いてきたが、やがてヴィヴィアンの実力がジュリエットを追い越しジュリアード音楽院へ入学が決定。
しかしジュリエットは落ちてしまい改めて大学の選択をしなくてはならない。
普段からヴィヴィアンへの嫉妬を募らせていたジュリエット、あるノートを拾い悪魔の力が秘められていることを知り利用していく……ヴィヴィアンを蹴落としその座を奪うために。

劇中で出てくるタルティーニ「悪魔のトリル」は調べたら実在の作曲家でこの曲はヴァイオリンの難曲として知られているそう。
(夢の中で悪魔が弾いた曲を写したというエピソードがあり)
冒頭で自殺する女生徒がバイオリニストなのはそういうエピに沿った演出っぽい。

ソリストを決める選抜で双子姉妹が弾いたサン=サーンス、ピアノ協奏曲第2番も難曲。

双子姉妹の確執、悪魔の力に魅入られるジュリエット、ヴィヴィアンの全てを奪うという野心が暴走するままに、彼女の担当教師、恋人、そしてピアノの腕も奪ってゆく。

ピアノを始めたのは彼女が先で生活の何もかも練習に犠牲してきたのに、後から始めたヴィヴィアンがあっという間に追い抜き、彼女はステージで拍手喝采をもらう栄光の未来が。
(私は何もかも我慢してきたし、彼女より上手い筈なのに……)
というふつふつと煮えたぎる嫉妬心をいだき続けているジュリエット。

絵作りから物語までかなり好みのどろどろ姉妹ホラーでした。
ピアニスト……引いては音楽家の厳しさも、ほんのり描かれています。
ソリストはひとり。
コンクールで賞をとれる一握りの人達。
凡人の私には想像もつかない努力を重ねてきている人達。
それ故に全く好感は持てないながらジュリエットの嫉妬心とその破滅が哀れでした。
その最後も。

(どう頑張っても自分はそこまで到達出来ないつー能力とか才能の差とかさ……ダンスやってた時につくづく感じた……🥲)