CharlieZG

いつかの君にもわかることのCharlieZGのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.9
養子縁組先を探す余命僅かのシングルファーザーと1人息子の話。

起伏なく淡々と見せていく流れはベタな御涙頂戴に陥らず、静かにそして確実にやがて来る別れの非情さを連想させた。
自分の手でどうすることも出来ない苦しみから自暴自棄気味になる父ジョンだったが、未来の息子マイケルへ向けて手紙や写真などを箱に入れて新しい親に託そうとする姿には涕涙した。

昆虫の死骸から “死” を説くジョンだが、やはり意味の分からないマイケル。

今は分からなくても、いつか分かる日が来るよ。それは愛する人を見送ること、そして愛する人に見送られること、そうやって愛を持って血を受け継いでいくこと。
具体的な台詞はなかったけれど、そんな監督の想いが聞こえた気がした。

いつかの君にもわかること

掴みどころのない原題「NOWHERE SPECIAL」よりも遥かに作品を言い得た秀逸な邦題だと思う。

父ジョンを演じたジェームズ・ノートンも良い演技だったが、何と言ってもマイケル役のダニエル・ラモントくんの愛らしさには終始顔が綻び、あのつぶらな瞳に吸い込まれるようだった。

ロッテントマト100%は驚きだが、心にゆっくりと沁み込んで来る佳作。
良かった。


監督 ウベルト・パゾリーニ

キャスト
ジェームズ・ノートン
ダニエル・ラモント
アイリーン・オヒギンス
ヴァレリー・オコナー
ステラ・マクカスター
CharlieZG

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