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すべてをかけて:民主主義を守る戦いのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

4.3
日本の選挙権がどれだけ恵まれているかを痛感できるアメリカの選挙制度についてのドキュメンタリー。

民主主義が後退しているアメリカで投票権を獲得することがいかに難しいことなのか、投票権を得て投票しようとしてもその先にハードルがいくつもあり、結果投票できず、マイノリティの民意が反映されにくい選挙システムであり、かつてのようにマイノリティの投票制限が行われていることが描かれている。

まず、アメリカの投票権と日本の選挙権とは同格ではない。

アメリカの投票権は有権者登録を自ら申請しないと得られない選挙権。(日本は住民基調台帳による選挙人名簿)

しかし、有権者登録は簡単にはできない。移民はサインが安定しない、学生もいくつもの書類が必要。州によっては¼が登録できない。全国では70%の登録有権者数。そのため有権者IDの発行に移行する州もあるが、返信がなければ発行されず、毎回投票していないとID登録から除外され、住所が変われば届かない。このIDがなければ投票できない。

マイノリティ、若者は有権者登録が困難となり、投票制限が行われている。

また、選挙区の区割りが恣意的に変更される。それは時の政党によって可能である。中立な第三者組織がない。

投票所が縮小閉鎖され、20キロ先に移ったり。

投票所でのシステムダウン。5時間待ちとか…有権者IDが現役議員でも通らず、人為的に確認するしかない。投票用紙が足りないとか…


こんな歪んだ選挙制度の国で健全な民主主義を育てるために闘う人々がいる。


いちばんに思うことは、政治(家)を信用できなかろうが、民主主義を維持するために、選挙に行く。選挙権を行使することが、民主主義の維持であること。民主主義があって、政治がある。政治(家)に何か与えてもらうんじゃない。順番が違う。私たちが選んで政治(家)がある。この辺りは与えられた制度の日本と違って、闘って獲得してきたアメリカの民主主義への渇望と意識は高い。


いや、本当に選挙いかなきゃ、と思った。民主制度を維持し守るために。
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