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蛋ヶ岳学会事件のTnTのネタバレレビュー・内容・結末

蛋ヶ岳学会事件(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

 沖縄映画祭にて鑑賞。監督のカルト映画好きっぷりが随所に伺えた作品でした。非常にキモい(褒め言葉)作品です。タイトルの読みは「たんがたけ」でした。

 まず自分の精子を卵に注射して入れる衝撃のオープニング。ある一定数の観客はここで拒絶感を抱くだろう。この清掃員の男の演技も得体が知れない。自慰、窃視、内股でなよなよしているも、突然声をかけてきたりする。また、看護婦の夫役の淡々と心理テストを妻にするシーンも不気味だった。

 デヴィッド・リンチオマージュの数々。そもそもこの卵から産まれた胎児がよくできている。リンチの「イレイザーヘッド」の胎児もどう作られているのか謎だったが、まさか現代にそれを再現できるとは・・・。そしてその胎児の後のシーンで、夕食でチキンを食べているのは「イレイザーヘッド」への露骨な目配せ。また、人物がバッと消える編集には「ブルーベルベット」味を感じた。

 これは審査員の人が言っていたが、編集の違和感は確かにあった。特に病室でのシーンは引き画がないので、誰が何を見ているかが錯綜していた。ただ、会話でのテンポの良い切り返しなんかや、ラストの畳み掛けは見応えがあった。

 内容はかなり謎が多く残って消化不良。生命の禁忌に触れた重大さもこの尺だとあっさりと終わってしまう。正直この設定ならもっと長尺で見たいという欲求があった。つまりこの世界観はかなりグロテスクで気持ちが悪いが、それ以上に興味深く見たい欲求が勝っていた。
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