くさむすび

サマーフィルムにのってのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

製作側から映画への壮大なラブレターのような作品だった。序盤から違和感が多いが、そのおかげでSFチックな作品だと早い段階で割り切って見ることができた。
とにかく映画への愛が溢れている。一番愛を感じたのが、編集中の部室でハダシが花鈴と一緒に恋愛映画を見て泣いているシーン。ここが最高だった。「映画の良さってまさにそうだよな」と強く頷いた。他人の生き様に自分の現状を重ね合わせるから感情が動いて、感動的な体験になる。ファスト映画だったり、若者が早送りして映画を見る近頃の風潮に蹴りを入れるような大傑作。「打倒!キラキラ恋愛映画」を掲げて作った映画が、次第に時代劇という名のラブストーリーになっていく。そして映画の枠を超越して演劇味すら感じる今作最大の見せ場には、声が漏れそうになりました。様々な方向に広がっているライバルの関係性の見せ方も上手いし、学校から製作費が降りているキラキラ映画班と自費で映画を撮っている時代劇班は、大手配給会社とインディペンデント会社の対比を思わせるけど後々この二つが共闘していく様相は映画界は協力して不味い風潮を打破していかないといけないんじゃないか、そういうメッセージと受け取った。全ての伏線も軽やかに回収していく爽やかさもあり、何かに熱中したくなる映画。
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