Ridiy

サマーフィルムにのってのRidiyのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
5.0
観てきました。
最の高です。

青春映画・映画製作映画、どちらも大好物な僕としてはブックスマート、ポンポさんと並ぶくらい好きな映画です。

何かを作る初期衝動というか「情熱の沸騰し始め」を見事に描いているし、一歩進み始めることの怖さ、自分なんかに映画撮れるのか、撮っていいのか、みんなついてくるのか、などなどの心情から、踏み出した後の疾走、楽しさを味わわせてくれました。

実際、大学時代に友人の映画作りに参加して(あの頃はPFFにだすんだぁ!!!ってやってたな)あの空気感は分かるし、ホントめっちゃ楽しい。今は仕事で映像を生業にしているけど、またいつか映画の方にかかわりたいなと心の底に沈殿した思いがあるオジサンには刺さりまくりましたね。

色々と印象的なシーンやセリフがあるんだけど、最初凛太郎を追っかけてたハダシだったけど後半では凛太郎がハダシを追っかけ、そして追い抜き振り向いてぶつかるあのシーンはすごく素敵だったな。二人の思いが重なるめっちゃいいシーン。
最初にハダシが追っかけてたカットは尾道シリーズっぽいというかあの路地感、オマージュしてるかな、と思いますね。
ハダシが箒をもって構えるシーンもセーラー服と機関銃っぽさもあるしね。

そして、物語のライバルにあたる花鈴組の描き方もすごくいい。
まず、劇中でハダシは時代劇には主人公とライバルor敵がいて対決をするという構造の話をしていて、それがこの映画の中では花鈴にあたるんだけど、この花鈴組の作る青春キラキラ映画がもう見てられないくらいキラキラ。
ハダシと観客は薄い笑いというか軽く馬鹿にして観るような映画き方なんだけど、これが話が進むにつれてそうではなくて、実は好きなジャンルは違うけど同じ思いを持ってるって分かって、観客にも「そうだよな、映画を作ろうと志した人間って同じだよな」という、なんというか映画に対する愛というかそういうモノを提示してくれました。
それがラストに繋がっていく、という非常に素晴らしかったです。

ハダシ以外のキャストの描き方も絶妙で、これ以上いじらなくてもいいというラインが丁度よかったな。みんなしっかりキャラ立ってたし。

もう一つ良い所は、先生の介在が無い事。桐島部活やめるってよの映画部の顧問みたいな訳わからん脚本の映画撮らされることもないし、余計なノイズがないのがいいですね。学園生活を描いてて先生の排除っていいと思います。ジャンルは違うけどクローズとかも先生出てこないしね。

タイムトラベル物としては設定のみで具体的なことは何もないのが今作では正解なんだと思うし、ご都合主義でこれはいいかな、と思う。

未来に映画を繋げるとうメッセージは観客の、特に若い観客に届いいて欲しいし、それこそがこの映画のメインテーマなのかな。
今みんなの手の中には映像も音も撮れるものがあるんだからね。出来るはず。

リンダリンダリンダとか桐島、映像研には手を出すな(原作&アニメの方)に通ずる優しさを感じる映画でした。

正直まだ書き足りないけど終わりにします。

ホントにまた好きな映画が増えました。
Ridiy

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