このレビューはネタバレを含みます
知り合いが見たとのことで、自分も見てみることに。
クライマックスのノーランがブラックボックスから戻ってくるかの治療室での攻防が、ややあっけないというか、母親の狂気がもっと欲しくなってしまった。
物語全体を通して、母親の息子への執着が、なんとなく取ってつけたような感が否めない。
マッドサイエンティストといよりも、息子を支配し所有し依存し、ているからこその研究であり、研究への没頭であり、息子を取り戻すための執拗な立ち居振る舞いを求めてしまうというか、、、
しかし、ブラックボックス内で迷い始めた息子に「あなたはずっと未熟なままなのね」と言うということは、”母親”ではなく”マッドサイエンティスト”のように思え、そんな女が、息子のために人生を捧げているような感じ、ということに違和感を覚え、母親の人物像にブレを感じた。
だからなのか、我が子が他人のカラダを借りて戻ってきたときや、再び消えた時の焦燥や絶望が相対的に弱く、結構冷静なので、見ているこっちは冷めていってしまう。
個人的には、あの母親には、息子へのどうしようもない想いと執着と切望を抱きつつ、その息子を死に至らしめた妻への憎悪や復讐、そしてそれらのごった返す想いの数々を一切表に出さない名医として振る舞っている、という人物であって欲しかったなと思った。
とはいえ、貞子とエクソシストが混ざったような人間が出てくるところや、徐々に種が明かされているところなどは良くできていて楽しめた作品であった。