からかす

ミッドナイト・スカイのからかすのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)
3.0
前年公開された「アドアストラ」に近しいものを感じる。
広大な宇宙の中で人は「孤」では生きられないし
だからこそ他者とのコミュニケーションを図らずにはいられない。
過去に置き去りにしたはずの「他者」を求めずにはいられない。
そのためには自らの命だって差し出す意志が人間にはある。
SF作品の中でそういうテーマを扱うのはよーく分かる。
「インターステラー」然り「プラネテス」然りだ。
何より「アドアストラ」に比べて
主人公が独りよがりでない所もより良い点だと思う。

それでも地球に一人残る博士パートと
木星から帰ってくる宇宙船パートが
うまくミックスされてるように感じない。
其々のパートの温度感が異なるというのもあるし
映画全体として物語の立ち上がりの遅さも影響してると思う。
この作風だから説明を削ぐこと自体は賛成だけど
物語に興味を持つための話の推進力が弱いのは痛い。

意識の高さは十分に感じ取れる内容だけに
もう少し脚本でなんとかならなかったのかという印象。
この意識の高さ通り落ち着いた雰囲気の映画にはなってるけど
個人的にはもっと静かな映画でも良かったんじゃないか
狼や凍った池や船外活動とかのシーンはもっと冷めててもいい。
画面的な退屈さに耐えきれなくなったのかなあと邪推してしまう。
からかす

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