コマミー

オールドのコマミーのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
3.7
【時間は有効に】



"M・ナイト・シャマラン"監督……これまで"様々な世界観"を描いてきた。
「シックス・センス」で多くのファンを得て、その後の「アンブレイカブル」や「サイン」なんかで着々と人々を魅了してきた。つまづいてた時期もあったが、ブラム・ハウスと組んだ「ヴィジット」から再び調子を取り戻しつつある。
実はシャマラン監督の作品は、物語の1つ1つに"時間"を絡めてある。物語の始まりと終わりには時間が関係していて、これは"世間の皮肉"でもあると私は考えている。

今回はそれが"とても活きた作品"になっているようだ。

シャマラン作品の特性で、ネタバレ厳禁な所もあるのでこの場ではあまり触れないが、皆さんは本作を観るにあたって、あのシャマラン史上最も不評だった作品「ハプニング」を観ておいた方がいいと思っている。
本作はそれを、上手く"要約"できてる作品だし、"物語の構造"が少し似ているので観ておくことをオススメする。実は私はこの「ハプニング」が好きだったりするので、この「オールド」も少し楽しめた。

しかし、本作で残念だったのが、"物語の不可解さ"が欠けていたと言うこと。それは物語の終盤。この終盤でシャマラン監督の特性がすり減ってしまった事に、とても寂しく感じたのだ。

コロナ禍でシャマラン監督が完成させた、"ビーチ"で繰り広げられるスリラー。それは世間に対する皮肉を混ぜながら、時間を絡めた、シャマランならではの描き方をしていた。

少し寂しさは残るものの、この最中でシャマラン監督が描く恐怖を劇場で体感できたのは、まさに至高の映画体験でありました。
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