コマミー

インフィニティ・プールのコマミーのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.8
【あなたの罪、あなたの○○○○が被ります】






いやぁ…今回もゾッとさせられた、"ブランドン・クローネンバーグ"。

本作も含め、僅か三作で"父:デヴィッド・クローネンバーグ"と肩を並べられる程の映画監督となったブランドン。つい最近は、娘のケイトリンも監督デビューを果たし、ますます次世代に渡るまでクローネンバーグ家の布教が敷かれていくことになるのだが、父デヴィッドの作品に1番近い位置にいるのが、ブランドンの作品だ。
私がブランドンの作品に出会ったのは、TSUTAYAにて「アンチヴァイラル」を借りてみた時からだ。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる若き医者の男が自分が売ってるセレブのウイルスを自らも摂取し、精神状態もどんどん侵蝕されていくという物語だ。ブランドンの作品は、父親の作品同様に、"現実世界と照らし合わせて見るととんでもない恐怖に晒される"という要素を持っていて、見てる間も充分恐ろしいのだが、見た後も怖くてたまらない。

そんな副作用も危険なブランドンの作品の最新作が、本作だ。

まず、本作も"リゾートホラー"の要素満載に見えて、とんでもない極地の恐怖に陥れるとんでもない作品だった。
人は生きている限り、"何度も罪を犯してしまう"生き物だと思う。それに味をしめてしまうと、人はとんでもない凶器になり得るとも感じている。
この「インフィニティ・プール」は、ある意味、「アンチヴァイラル」よりも人の"残酷さ"が前面に出てたヤバすぎる作品だった。

その狂気の発端となる人間の作り出す、"科学的な創造物"がキーとなっている。そして本作は、ある意味主人公が"何度も死んで"…"何度も蘇って"、"何度も罪を重ねる"映画だ。その背後にあるのが、この科学的な創造物だ。
そしてリゾートホテルで出会った"ガビ"と"アルバン"…この2人との出会いが更に主人公:"ジェームズ"の悪夢を加速させるのだが、特に"ミア・ゴス"演じるガビ…この女が"妖艶に官能的にジェームズを惑わし"、悪事へと引き込むのがとてつもなく怖かった。それを演じるのが、ミア・ゴスというのもまた怖い。

本作は、今までの作品通り、肉体的な残酷さを描いているところも多いのだが、"精神的"にも"倫理的"にも残酷さを描いていた。正直言うと、今までの作品と比べると劣る所も多いのだが、本作はより"現実的な"残酷さと悪夢を描いているのではないかと感じた。
そしてカナダ製ホラー・スリラーには欠かせない撮影監督"カリム・ハッセン"の独特なカメラワークにもまた痺れた。

今回も凄い作品だった。ブランドンのこれからに、これからも注目だ。
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