緑

ヘルムート・ニュートンと12人の女たちの緑のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

昔、書店で見かけた石田えりの写真集と
予告編のみの予備知識で鑑賞。
ニュートンの出自も知らなかったため
まさかのナチス話登場に驚いた。

彼はスーパーポジティブな考え方の持ち主。
大胆な写真のために繊細な仕事をする人。
出演して思い出を語っていた人たちは
みんな彼のことが好きなようで、
観る者以上にも被写体が喜んでいるという関係性に、
アニメ制作会社シャフトと原作漫画家の関係を
思い出したりした。

苦情が殺到した写真のエピソードで出た
苦情の発信者の知識不足が原因というのは、
昨今のネット炎上でも多々ある話。
昔からものを知らない人ほど
声高になにかを言いたがるのは変わっていないようだ。

彼の写真を女性蔑視と断じた女性が言っていた
女性を上げる物言いをする男性ほど
女性を蔑視しているという考察には頷けるところあり。
ニュートンがそうかどうかは別として、
当人の自覚としては本気で女性を崇めているのだけれど
その意識の下に強い蔑視が存在しているのはあるある。

12人の女性のうち、
知っていたのはアナ・ウィンターのみ。
あのネックレスはコスチューム・ジュエリーかな?
ナジャ・アウアマンは今も昔も別嬪さん。
グレイス・ジョーンズが彼に呼ばれるたびに
「貧乳だったの忘れてた!」と言われた話には笑った。
ジューン・ニュートンとのプライベート写真の数々、
じっくり観たい。
彼は被写体としても魅力的。

カメラ越しに見ることで
フィクション化できるというのは理解できる。
彼なりの厳しい現実と付き合う上での
処世術のようなところもあったのだろう。
それにしてはいろいろなことを暴いてしまう
写真を撮り続けた人だけれど。
彼が言っていた、
写真家を殺す言葉は「アート」と「センスがある」。
その姿勢には共感を覚えた。

強い女性の写真にはあまり興味がない。
でもハイヒールを履いたチキンの写真はすごく好き!
緑