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拝啓天皇陛下様のbluetokyoのレビュー・感想・評価

拝啓天皇陛下様(1963年製作の映画)
3.5
意外と佳品だったりする。戦争映画なので、あまり興味はなかったが、実際は、戦闘シーンはあまりない。主なシーンは、軍隊の中での生活ぶりである。その点では、お仕事映画ともいえる。
視点は、作家の棟本博。軍隊に入るわけだが、まったく嫌なことだと思っていると、一人、嬉しそうな男がいる。名前は、山田正助。両親はなく、貧しい生活。軍隊に入れば、三度の食事にもあり付けるし、規則正しい生活も送れる。さらに、読み書きも教えてくれるし、給料も貰える。まさに、山田正助にとって天国なのである。

そんな中、原一等兵は、厳しく、なにかといえばびんたをした。原一等兵が満期除隊になる日、卒リンのようなことを考えていたらしい。
軍を離れてしまえば、殴ろうがなにしようがいいわけである。
山田正助は原一等兵が満期除隊になった日、裏に呼び出したが、どうにも優しい気持ちが先立ってしまい、殴ることは出来ない。そこで、相撲を取ることにした。原一等兵は、西村晃さんが好演している。

とくに中村中隊長は、山田正助に目を掛けてくれた。

そんなことをやっているうちに、棟本も山田も満期除隊となり離れ離れになる。

棟本は結婚し、作家を目指すが、提灯かなんかを作る内職をやっていたら、そちらがえらく忙しくなった。日中戦争がはじまったかららしい。

そんなとき、再び、召集令状が来る。

軍に戻って、棟本は経理をやる。新兵を訓練する声に聞き覚えがあると思ったら山田も召集されていた。

山田にとっては嬉しい軍隊生活だった。

日中戦争は南京陥落となり、そこで終わるという噂が流れる。
そうなれば、また、除隊になる。山田は、軍を離れたくないので、天皇に直接、手紙を出して、除隊を免れようとしたのである。棟本はそれを見つけて、不敬罪になるということで、慌てて止めさせた。

といっているうちに除隊。
棟本は、作家として成功。講演をしているとき、客席から聞きなれた声。またしても山田だった。

三度目の召集。終戦。
棟本は、やっと作家として暮らしていけるようになった。そんなとき、山田は、現れては姿を消すという具合だった。

ある日、山田が現れて、結婚することになったから、仲人を頼む、と言ってきた。

そんな山田だが、結局、トラックに轢かれて亡くなった。

やっと落ち着いた家庭を手に入れたと思った矢先だった。山田にとって、戦後は来なかったのだ。
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