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「拝啓天皇陛下様」に投稿された感想・評価

寅さん前の渥美清。

でも、やっぱり寅さんっぽい^_^

貧しい田舎に生まれ両親をなくし、それ故に三食付きの軍隊大好きな男。軍隊内のイジメや過酷さは抑え気味で、コミカルに描いている人情喜劇風。同じ様な設定の」兵隊ヤクザ」なんかより気楽には観られます。でも、やっぱりどこか悲しげでもあります。

バカだけど憎めない渥美清の個性を生かした、反戦でも戦意高揚でもなく、戦前戦後の庶民哀歌だと感じました。

人情喜劇の東の横綱が渥美清だとすると、西の横綱、藤山寛美も共演してますが、もっと絡みがあるのかと期待しましたが、、チョイ役でした、残念^^;
yukiko

yukikoの感想・評価

3.6
昭和初期から戦後まで、一人のどうしようもないけど憎めない男の半生ドラマ。
もっとコメディかと思ってたら、予想以上に哀しく心が苦しかった。

いじめ(パワハラ)、戦争、軍隊にしかない居場所、そんな中で支えになる心の交流、コミカルなところもあったけど、結構重かった。

渥美清さんのヤマショウは、寅さん以上にどうしようもなく、身近にいたら嫌だし好感は持てないけど、嫌いにはなりきれない感じだった。

そういう風にしか生きられなかった男の物哀しさ。

心の友・長門裕之と妻左幸子、安定の小金治、加藤嘉、西村晃も、人間味があってとてもよかった。
藤山寛美さんがイメージと違ったけどとてもいい役でグッときた。

最後、悲しすぎた。

教訓 酒は飲み過ぎてはいけない
え

えの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

思い切りフィクションとして受け止めそうな自分がいたけどそうではないのかもしれない、
軍隊の中で生きるあらゆる人たちのこと、変化、笑って見てしまえばそれまでだがヤマショウの死には 一人の人間の死 では留まらない事実がある気がする、戦争

まだまだかわいい長門裕之
hmsuga

hmsugaの感想・評価

3.5
寅さんじゃない渥美清さん、似たよおなキャラでよかった。
戦後17年まだまだ兵隊経験者の多かった時代、世相を感じる作品だった。
ゆう

ゆうの感想・評価

3.9
ヤマショウこと山田正助(渥美清)とその戦友の棟本(長門裕之)の、戦中と戦後の話。

子犬のような目で直情的なヤマショウとインテリタイプの棟本は、『兵隊やくざ』の勝新と田村高廣の関係に似ている。

ヤマショウは3歳で両親と死に別れて以来一人で苦労してきたから、皆が嫌がる軍隊に入っても「ここは雨が降っても三度三度のメシが食えるから天国じゃ」と語り、いったん除隊になった後にも「戦争はまだ終わったりせんじゃろうのう?わしは早いところ赤紙が来てもらわにゃ、かなわんわい」と戦争の継続を希望する。

戦後、棟本にご馳走するためにニワトリを盗んできたヤマショウを棟本は叱るが、軍隊では棟本も何度も盗みをしていたじゃないかと反論され、棟本は何も言い返せなくなる。

ヤマショウは、軍隊の外よりも内が良くて、戦争の終結より継続が良いというふうに常識と真逆の感じ方をするけど、常識的な棟本には無い一貫性がある。

ヤマショウ「わしは内地に帰ってきて腹が立ったんじゃ。内地の奴らは戦争に負けたことなんか何とも思っとらん」

軍隊を天国だと思うヤマショウのキャラクター自体が皮肉なのかもしれないし、ヤマショウの一貫性は常識的な「内地の奴ら」への風刺なのかもしれないけど、作品自体がとてもコミカルで、魅力的なヤマショウという人物をただ楽しんで見ていられる。

消灯ラッパのリズムに合わせて口ずさまれたという歌詞(この映画では字幕)、入隊時の宣誓書への署名、兵隊の流行唄、軍事演習など、細部もリアルで良い。『マダムと女房』などの当時の映画の映像の引用、芥川也寸志の音楽も楽しい。
寅さんではない渥美清作品。
不器用でカタカナしか書けないが力持ちで明るい男、山田ショウスケ(渥美清)とムネさん(長門裕之)との軍隊での戦中戦後に至る交流が描かれる。
昨今では、ほとんどない、明るい戦争映画。山田は軍隊の中にしか、自分がいていい場所を見つけられない、かといって戦争賛美でもなく戦争批判でもなく。
豚を追いかける劇中映画が何か頭に残る。

この人が藤山寛美さんか、とかあれこの人、津川雅彦?いや弟か?とか大御所の若き日の姿に驚く

新平さんは可哀想だねェーまた寝て泣くのかよォー
物心つかぬうちに両親と死別し天涯孤独の山田正助
そんな彼にとって3度の飯と給与を貰える軍隊は天国だった。
彼は漢字が読めないし、馬鹿にされることも多いけれどそんなことも気にならない。
肉親はいないけれど隊員は背中を預けた兄弟様なもの。
よく言えば天真爛漫、悪く言えば能天気…あそこまで底抜けに明るいと嫌味も嫌味と捉えてないように見えた。
終戦の噂を耳にし、軍隊をやめたくない正助は自分だけでも残してくれと天皇陛下に手紙を書き始める。
それを見たヤマショウは不敬罪を問われると正助を止めるのであった。
天皇陛下万歳、軍隊は天国という思想は日本国としてはあまりにも都合がいい。
家族がある者は赤紙が届くと顔で笑って心で泣くが戦争の度に嬉々として出征する正助が道化に見えてくる。
寝食を共にした者が戦地で亡くなるも自分は生きて戻るも待つ者はいない。
結局正助にとっての本物は友達であるヤマショウだけで家族は得られなかったっていう事実が悲しい。
ブラックだがユーモアに富んでいる反戦映画
男はつらいよ見た事ないけど渥美清は良い芝居するなぁとしみじみ。
これを反戦映画だとは、今の今までわからなかった。
(=^・^=)
なんとも悲しい喜劇。あの時代、このような笑えない状況があらゆるところで起きていたのであろう。
渥美清演じる主人公の物悲しさには、その後の寅さんの一筋さが重なる部分もある。
慶應卒、野村芳太郎監督一流の、痛烈な皮肉がきいた戦争映画。朗らかに、軍隊生活を描きながら、底流では徹底的にバカにしている。

「恐れ多くも天皇陛下におかれましては」
と言うだけで、背筋を伸ばす軍隊を何度も描写し、皮肉っている。

主人公・渥美清は孤児であるがゆえに、三食くれる軍隊生活を「天国」と称している。
実際、軍隊生活は暴力の温床になっているが、渥美清は気にもしない。

そのため、戦争が終わりそうになると、天皇へ向けて戦争を終わらせないように手紙を出そうとする。
本来、人が死ぬ場所にもかかわらず、軍隊が自分の生きる目的になっているため異常とも思える行動に出る。
この倒錯具合はフォレストガンプを思わせる。

そして、軍隊に入るまで、関心すら払っていなかった天皇に対して、異常なまでの敬意と好感を表し始めるのだ。

戦後は、自分の友人や妻のために生きようと努力するが、やっていることは戦前となんら変わりない。

徴発と称して、他人の鶏を盗んだり、死体を担いで運んだりしている。

天皇陛下のために、命を燃やしていたのが、友人や恋人に変わっただけである。
にもかかわらず、前半と後半で全く違う人物に見えるから不思議だ。

組織や空気に流されるまま、自分の身の回りにある大切なもののために、生きようとした、それだけなのに、全く違う人生が展開されてしまう不条理。

こんな戦争映画の視点、平成世代の自分には決して持つことはできない。

その時代にしか作れない文化が確かにあるが、ホンモノの太平洋戦争映画はもう二度と作れないだろう。

顔の日焼け、シワの入り方、軍服の汚れ、言葉回し、そのどれもが素晴らしく、現代の映画は到底及ばない。

安っぽい悲劇としての戦争映画はもう飽き飽きだ。1940年代前後をテンプレートで暗い時代と描くことは、かえって戦争をバカにしているようにしか思えない。

そういった意味でも、この戦争映画は白眉。

素晴らしい映画だった。
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