しちれゆ

川っぺりムコリッタのしちれゆのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
4.2
公開が延び延びになっていた本作、待ち遠しかったのに いざ公開されたら見ちゃうのが勿体ないとさえ思ったくらい心待ちにしてた。松山ケンイチはもっと評価されてよい役者だと思う。

その松山ケンイチが今回も素晴らしかった。彼が演じるのは前科者でイカの塩辛を作る小さな工場で働き始めた山田(この作業は絶対腰やられる💧)、作業帽とマスクの間から覗く暗い目がとても切ない。ハイツムコリッタの隣人 島田も色々訳ありだけど、彼がズカズカと山田の領域に踏み込んで来てくれたお陰で山田の他人を寄せ付けない孤独な心が少しずつ溶けていく。2人とも自己肯定感が持てなくて、島田の方は陽キャを装っていながら奥底には悲しみの澱(おり)が厚く積もっている。酔っ払って吐きながら「ごめんなさい許してごめんなさい」と言い続ける島田を見つめる山田の眼差しには怯えと共感が入り交じっている。

そして! 炊きたてご飯と味噌汁もいいけどすき焼きもね!の場面がとても楽しい。山田が茶碗と箸を持って「ボク、金もってませーん!」って飛び込んで来るとこ最高でした😆
工場の上司 緒形直人も、役所の柄本佑も、大家の満島ひかりもみんな優しくて泣ける(満島ひかりのあの場面は意外だった😅)。

松山ケンイチ本当に良い役者。もっともっと役に恵まれて色んな姿を見せてほしいです。
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