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続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画のmのレビュー・感想・評価

4.9
まさかのボラット続編登場!今!?マジで!?
相変わらずあらゆる所への毒気たっぷりなギャグが全編爆裂。特にホワイト・トラッシュや共和党の人達や保守派の古い価値観への毒気が尋常ではなく、本当にドス黒い引きつった爆笑が止まらなくなる瞬間が何度もあった。

ありとあらゆる所に毒気を撒き散らしているようで、実は逆説的にかなりポリティカル・コレクトネスであり(劇中でまともな事を言っているのが黒人女性とユダヤ人の老婆だけというのも示唆的)、作り手の思想には極めて明確に『クレバーさ』と『現状への怒り』がある事が伝わってくる。明らかに前作よりもまともで冷静。
ただしそれを読み取るには観客にもちゃんとやってる事の裏を読む知性が求められる訳で、こういう風刺コメディには作り手にも受け手にも知性が求められるのだ(この映画はフェミニズムはおちょくってないですからね)。

後半のあるシーケンスではガチで危ない橋を渡っているので、今後訴訟騒ぎにならないか心配。

ケラケラ笑っていたら中盤での思わぬ展開というか種明かしというか時間軸の設定に衝撃を受けて、その後は相変わらずケラケラ笑いつつも背筋が伸びた。作り手達は実にシニカルに毒気たっぷりにあるタイプのアメリカ人の駄目さをおちょくりつつ映画にダイナミックなうねりと稀な現代性をもたらして、某映画のラストの笑撃的パロディをブチカマしながら衝撃的&笑撃的な驚愕エンディングに雪崩れ込む様はもう圧巻。

何故今、まさに今このタイミングでこの映画を配信でリリースしたのか、その意図はもう誰でも分かるように明確に示される。マイケル・ムーアがやってた事をサシャ・バロン・コーエンがコメディ映画の型を使ってやり切った。これは凄いな。アメリカ人全員観てくれ。

あと日本語吹き替え版がオススメです。山寺宏一流石だけど娘役の声優さんの演技が爆笑もの
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