佐藤

あの夏のルカの佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

とてもよかった。ルカは家がある子供で、アルベルトにはない(かつて父がいたけど捨てられたと思っている)。二人の子供が出てきて安心した。
私はいつも、家がないと感じている子供がこれをみたらどう思うだろう?と勝手に妄想しながら児童向け作品をみる。
怖い気持ちに名前をつけて、自分と切り離して扱うテクニックが扱われていてよかった。後から、切り離してよい恐怖心と、切り離さないほうが良い恐怖心の違いが描かれていたのも素敵だ。
ルカを家から飛び出させたアルベルトが、ルカを自分と同じ安全圏に囲おうとする展開は辛い。
わりと序盤からアルベルトに同情した。仲のいい友達が人間と親しくなる。既存の文明をそこそこ理解していたが、友達に先をいかれる。既存の差別を認識して(受け入れて)いたら友達が反発するし、友達から差別の扱いを受ける。そして友達には、家がある……。ルカのために傘を持ってきた心は熱い。傘を選ばないルカの勢いも熱い。
既に街には別の生態が街に混ざっていた点もいい。
漁師の親父さんが……心があってよかった。ずっと心がある。最後の汽車シークエンスで、一緒には行かない(実際は行けない比重の方が大きいだろう)アルベルトの背後に、親父さんを立たせているのも目頭熱くなった。
取り巻きの少年がボートの舵を変えるとこでは、やや変な受け取りだが、ナウシカの「ラステルさん……」を連想した。
佐藤

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