KOUTA

アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録のKOUTAのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

実際にあった事件を資料映像で繋げたドキュメンタリー映画。
監視カメラの映像や警察の資料映像、SNSの会話や動画でひとつのストーリーに仕上がった上質なドキュメンタリー映画で、かなり映画としてもセンスのある作品。そもそも警察もよくこんなに資料映像を提供してくれたなと思いますよ。

ある幸せそうな家族がある日母と娘が失踪してしまい、その夫や友人が警察と共に捜索をすることになります。
もう実際にある事件なのでネタバレすると犯人は夫で犯行動機は浮気相手がいて妻とも良い感じにならなくなってきたらしいです。

何が一番モヤモヤするかって浮気してしまった、妻とも最近関係が良くないだったら離婚すれば良いだけの話で、邪魔だから殺してしまおうという考えに至る点ですよね。何よりこれが計画的に行われるというのが何より怖いというか

さらに言うとじゃあ夫が妻や子供を愛した時間は嘘だったのかと言ったら嘘ではないとは感じられないし、しっかりと愛してた時間もあったとは思うんです。

そういう意味ではいつ人が浮気をするのか、いつ人が人を殺してしまうのか、人の突然思い立つ思考があまりにも怖くなる作品でもあります。

夫はかなり最悪なことはしましたが、妻も妻で「どうなんだ」と思う部分はあって、SNSで子供の動画をあげて自分が人気者と優越感に浸る姿は見せられるし、もう2人の子供と1人子供を授かっていて夫に毎晩セックスを求めたりと、夫目線からしたらそんな毎晩要求されたら疲れるだろうし、SNSでも自分が映ってはいるから良い夫の姿を撮さないといけないプレッシャーもあった訳ですから一概に夫が全部悪いとは言いきれないんですよね

この映画をサイコパス映画と思う人もいるかも知れませんが個人的にはサイコパス映画だとは思わないし、夫をサイコパスだとも思えません。

サイコパスであれば取り調べの際に動揺したりそれを顔で表したりしないだろうし、殺人を犯した罪悪感で体調は崩さないはずですから彼が本物のサイコパスではないというのは分かります。

まぁ本物のサイコパスではないごくごく普通の男性が家族を殺した異常な事件だった話にはなりますが、逆にそれがサイコパスより怖いです。
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