CATperformance

映画大好きポンポさんのCATperformanceのネタバレレビュー・内容・結末

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像とキャラの動きが凄く気持ち良い。
それだけで観る価値があると思います。

ただ、何かを残す為にそれ以外を犠牲にする事という件は演出のパワーで押し切っている感じがありますが、個人的には何故?と思いました。
急に飛躍したなと。
作中劇マイスターは巨匠がアルプスで音楽への情熱を取り戻す話とありましたが、
そこからどうして音楽へのみ捧げる話になるのか。音楽へ込める夢や思い出=作家性は外の世界や感情を無視しては得られないって言う話じゃないのか?と途中で混乱しました。
ジーン監督が作家性に辿り着いたきっかけも映画だけに籠ってては駄目で、夢や思い出、感情を世界を通じて思い出す事だったはず。

あと、マイスターは何故上映時間を90分にする必要があったのか。90分はポンポさんの理想であり、無駄なシーンでブクブク膨れた映画は美しく無いのは分かりますが、ジーン監督も気に入っていたナタリーが主演を張る事の説得力が出てた初ショットまで削る必要があったのか。
最後のセリフ、気が利いている様で「何故?」としか思えず上手くないなと感じてしまいました。

また、これだけ熱を持って語るにしては、銀行融資の件とかがあり得ない程にご都合主義。
高い理想を語りながら、自分達には甘い様に見えてクリエイターの自己陶酔みたいで萎えます。

ポンポさん周りでも気になる点が。
マイスター以前の作品に感動した事が無いのなら、沢山プロデュースしているB級映画に対して
どの様なスタンスだったのか。
魅せ方のテクニックだけの作品だったのか。
個人的にB級映画こそ愛が込められて無いと魅力を感じないので嫌な気持ちになります。
マイスター成功後のB級映画プロデュースしてるシーンはポンポさんはアカデミー賞的な賞を受賞した作品を送り出した後もB級映画作成に勤しんでいる的なポンポさん格好良い感を出したいんでしょうけど、愛は無い形だけのポーズに見えて逆に不愉快。

また、最終的にアカデミー賞的なメジャー賞受賞&大ヒットでハッピーエンドなのも疑問。
そんな商業的なお話だったのでしょうか。
ジーンやアランみたいな人に届いた描写こそ必要なのではと思います。

熱と勢いとアニメの美しさで押し切っている作品と言う個人的な印象ですが、何回も観れば見落としていた箇所とかが見つかるのかも。
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