さとむぎ

映画大好きポンポさんのさとむぎのネタバレレビュー・内容・結末

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

Filmarksの高評価に後押しされ、満を持してサブスクで鑑賞。

主人公のジーンは、映画制作の才はあるが、対人関係を築くのは苦手な印象。
そんな彼が、大した下積み経験もないまま初めてメガホンを取る現場において、敏腕プロデューサー・大御所俳優・実力派の制作チームが誰1人対立意見を言わず、快く指示に従い、和気藹々と映画制作を進めていく。
それが如何せんご都合主義というか、現実味がなく違和感が拭えませんでした。

また、新米女優であるナタリーの声優さんが棒読み過ぎて、話に全く集中できない…。
新米でこそあれ、彼女にキラッと光る魅力があったからこそ主役に抜擢されたわけで、それなのに日常生活すら棒読みって…。
辛口で恐縮ですが、もう少し演技をなんとかして欲しかったなぁ、と。

正直なところ、冒頭〜映画撮影のシーンまではあっちこっちに気が削がれ、全く楽しめませんでした…。

しかしこの作品、映画の編集作業のシーンから一気に面白くなります。
一見地味な『編集作業』が作品の根幹になる、というのは、映画制作を題材にした本作ならではだなぁと…。
編集作業の過程で、現実世界と映画の内容がリンクしていく、というストーリー展開が非常に面白いです。
何かを選ぶ事で、他を切り捨てなければいけない。
選ぶ者の苦悩や、切り捨てられる者の悲哀が包み隠さず描かれており、モノづくりに対する誠実さを感じさせます。

そして何より、この映画の上映時間が90分であることで、私達が生きる現実世界と、ポンポさん達が生きる作品の世界がリンクする構成も非常に素晴らしい。

後半が絶賛したくなる完成度なだけに、その技量を前半のストーリーや、キャスティングにもっと活かしてもらえたら…と勿体なさを感じてしまいました。
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